楽天OPEN 2009
Rakuten Japan Open Tennis Championships
本戦2日目 2009/10/6(火)
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本戦2日目です。
今日は仕事帰りに会場に向かいました。
昨日は、前日までの観戦疲れと、最終試合がダブルスということでやむなく断念。
近藤/添田ペアが全米ミックス優勝のパロットのペアに勝つなんて思ってなかった・・・。
今考えると、見に行けば良かったな。
まー、昨日はホントに疲れてたんで、行かないのは正解ではあったんだけど。
不思議なもので、これだけ毎日のように生観戦してると、1日観戦しないだけで久々のような気がしてきます。
既に生活の一部に取り込まれたってことなのか・・・(笑)
さて、なんだかんだ有って、会場に着いたのは8時ごろでした。
2試合ぐらいは見れるかなと思ってましたが、前の2試合が思いの他サクサク進み、見れたのは1試合だけです。
シモンも見たかったんだけどなー。
当初の予定では、そのシモンvs貴男君が最終試合でしたが、追加でサントロvsゴルベフが追加されました。
これは嬉しい変更でした。
サントロは今年が現役最後の年です。
生で見たかった選手の一人でした。
(その後、引退するのをやめる、という選択肢も出てきたようですが。是非そうして欲しい!)
さっそく試合に行きましょう。
◆Fabrice SANTORO (FRA) def. Andrey GOLUBEV (KAZ) 6-7(5) 7-6(2) 6-2
01
コロシアムに入ってロビーのスコアボードを見ると、前の試合は既に終了してました。
モニター画面でコートの状況を確認すると、サントロとゴルベフはまだウォームアップ中の様子。
試合開始に間に合って良かったと思いながら、客席に向かいました。
客席から見ると、先週の女子選手を見慣れた俺の目から見ても、サントロはそれほど大きく見えないです。
(最近の若い女子選手たちがデカ過ぎるってのもありますが・・・。)
日曜日に30cmぐらいの間近で見た時も思いましたが、日本人の標準的な身長とほとんど変わりません。
間近でパウやセラの試合を見た時に感じたことですが、これぐらいの身長で世界で活躍してる選手たちは、並外れたテクニックやフィジカルを持ってます。
(兄ちゃんしか生で見たことないけど、ロクス兄弟なども同じだと思う。)
サントロの試合は、テレビでは何回か見てます。
ローランギャロスのサフィン戦など、印象に残る試合が多いです。
これまでの俺の経験だと、テレビと生観戦では、同じ試合を見ても感じることが全く違ったりすることがあります。
自分の目で、生で見た時にどういうことを感じるのか、今日は凄く楽しみでした。
試合は両者キープから始まります。
最初にブレイクに成功したのはサントロでした。
サントロは序盤から好調でした。
マジシャンと言われるプレイを随所で見せてくれました。
緩急を付けた攻撃。
スピードボールへの対応の上手さ。
そして、相手の裏をかくようなショット。
序盤から見所満載でした。
相手のゴルベフが不調気味だった、というのもありますね。
試合序盤ということもあるのか、エラーがかなり有りました。
そういった好不調の相乗効果で、サントロがポイントをリードするゲームが多かったです。
1STセット終盤までサントロが1ブレイクアップでしたが、スコア以上にサントロが有利に感じました。
しかし、5−4からのサーブをサントロが落とします。
つまり、サーヴィング・フォー・ザ・セットをブレイクされたということです。
確か、ゲーム終盤に連続してウィナーを取られてブレイクされたんだったかな。
そのままタイブレイクへ縺れます。
一進一退でしたが、このタイブレイクをゴルベフが取り、逆転でセットを先取しました。
序盤の劣勢から、よく取ったと思います。
2NDセットはキープが続きます。
ゴルベフは硬さが取れたのか、1STセット終盤辺りからキレのあるショットを数多く打ち始めました。
サントロは上手さは有ってもパワーで攻めるタイプではないので、ボールとコートに慣れて落ち着いて対応出来るようになったようでした。
お互いにチャンスとピンチは有りましたが、最終的にキープを成功させてました。
その流れが2NDセット終盤まで続きます。
と書いてますが、GAORAの録画を見るまで、てっきり先にブレイクされたと思ってましたよ。
2NDセット序盤はカットされてて分かりませんが、放送のなかでオールキープペースと言ってたんで。
ファイナルセットと記憶が混じったのかもしれません。
人の記憶というのは曖昧なものですね・・・(笑)
(ん?あくまでオールキープ「ペース」ってだけか・・・?)
今日はサントロ応援目線で見てたためか、彼の危ない場面ばかり記憶に残ってます。
このセットは特にそうですね。
第9ゲームのサーブでブレイクポイントを握られ、後ろに下がりながらのジャンピングスマッシュを決めたポイントとか、かなりハラハラしながら見てました。
第11ゲームでは0−40を逃れてのキープでした。
まさに綱渡りです。
そんな感じで、オールキープとは言え、ピンチは数多くありました。
1STセットを失い、2NDセットを絶対に取る必要があるサントロとしては、スコア的にも内容的にも苦しい展開でした。
正直なところ、残念だけど1回戦敗退かな・・・と思った時もありました。
サントロにチャンスが無かったわけじゃありません。
相手のサービスではチャンスが有りながら、最終的にはブレイク出来ず・・・。
(0−40もあった。)
その上で、さっきも書いたように、自分のサービスではピンチがたくさん有りました。
しかし、そこでいいサーブが入ったり、綱渡りのようなラリーの末にポイントを取ってました。
特にセット終盤はピンチの連続でしたが、何とかサービスキープに成功しました。
タイブレイクでは、ギアを1段上げたのが分かりました。
それまでは緩急の「緩」の要素が大きかったですが、ここでは「急」を多めに使ってました。
コースを突いたサーブや勢いのあるストロークを打って先行しました。
何でそれを今までやらないんだって感じですが、これをやるのは重要な場面だけなんでしょうね。
もしくは相手にプレッシャーが掛かる展開の時だけとか。
サントロが中盤以降ポイントを重ね、セットオールに追い付きました。
ファイナルセットは、コートエンド最前列でたけぽんさんと一緒に見ました。
有明恒例のラストマッチサービス(って名前だっけ?)でしょうね。
アナウンスは特に無かったけど、チケットを確認する係員が一斉にいなくなったので。
(CS席が開放されたのは、もしかしたら2NDセット終盤だったかも。)
この時点で、既に10時半近かったです。
バイト(たぶん)の若い連中をそこまで置いとくわけにいかない、ってのも有りそうだけど。
ファイナルセット序盤はゴルベフの勢いが続きました。
サーブもストロークも、凄い勢いで凄いコースに飛んでいきます。
2NDセット以降、ゴルベフのバックのダウンザラインのウィナーが多かったです。
これは、サントロの配球も大きいと思いました。
かなりの確率でバックハンドに返球してましたからね。
それがちょっと甘くなれば、ダウンザラインへ打ち頃のボールになってしまいます。
サントロからすると、バックのダウンザラインを打たれる危険よりも、フォアの1発のが怖かったのかもしれませんね。
サントロは丁寧にショットを打ち分けてましたが、試合序盤とは違い、簡単にはポイントが取れません。
ネットにも出ますが、試合序盤ほど決定率がよくないです。
そんな中、ゴルベフが第2ゲームでブレイクに成功。
あー、やっぱりダメか・・・と思ったのもつかの間、次のゲームですぐにブレイクバック。
ブレイク差なしに戻しました。
ゴルベフの攻勢が続いてましたが、その辺りから少しづつ流れが変わってきます。
ジャッジの問題も有りましたが、一番の要因は、高い集中を続けてたゴルベフのプレイにやや乱れが出てきたのが大きいと思います。
数多くの試合を見て常々感じることは、高い集中力は長時間は続かないんだな、ということです。
1時間以上良いプレイをしてきて、それが落ち着く時間帯になったんだと思いました。
彼はジャッジに2回、激しく抗議しました。
特に2回目はイライラを爆発させました。
彼が言うとおり、ホントにミスジャッジだったのかもしれません。
でも、本人が自覚してるかどうかは別にして、自分の調子が落ちてきたのを感じとって、ジャッジミス(と本人は思ってる)に食いついたんだと俺は思いました。
相手の流れを断ち切るため、もしくは自分のイライラを一旦リセットするため、というのもありそう。
1回目は、ドロップボレーを警戒して(たぶん)ベースラインから1歩前進したところに深いボールが来て、アウトだと思って下がりながらジャッジしたらインと判定されました。
このときはベースラインの真後ろから見てましたが、その位置からは入ってるように見えたけどなー。
下がりながらのバックハンドで、バウンドさせたら苦しい体勢でスライスロブを打つしかない状況でした。
かと言って、ボレーで返すには位置が後ろ過ぎます。
結果論に近いですが、そういったボールを打ったサントロを誉めるしかないでしょうね。
2回目は、アドサイドからセンターに打ったスライス気味のサーブをフォルトにされました。
ゴルベフは俺が見てたエンドからサーブを打ったので、正直、僅かなサービスラインのオーバーなら遠すぎて分かりません。
オーバーよりもサイドアウトのが分かりやすいですが、この時は微妙ながらサイドアウトだったような?
チャレンジシステムが有れば、1ミリ2ミリ入ってた可能性は有りますが・・・。
この試合に限らず、俺は選手のジャッジへの抗議は半分ぐらいしか信じてません。
自分に有利に判定させるため、線審へのプレッシャーを掛けることも当然あるだろうと思ってます。
(去年のロディックを見て、それが間違ってないと確信した・・・笑)
ゴルベフが集中を失い始めると共に、流れは圧倒的にサントロに傾いていきました。
サントロからは簡単なミスが無いので、ゴルベフは自分から攻撃していく必要があります。
サントロは相手を圧倒するような強打一辺倒の攻めが無いとはいえ、球種は豊富です。
ということは、ゴルベフは変化するボールを最後まで見極める必要があります。
緩くて深いボールや、低くて弾まないボールを、何回も攻撃し続けるのはかなりしんどいはずです。
そういった状況で、集中力が落ちたゴルベフは、ミスを連発するようになりました。
ボールへの集中が低くなり、それまでと違って僅かに腰高気味になり、それにしたがって僅かなネットやアウトが増えてきました。
ここでまたしてもサントロは緩急の「急」を増やしてきました。
それまでは同じコース(バック側)に打ち続けることが多かったですが、スピードボールで左右に振りはじめました。
ネットにも頻繁に出てくるようになってきました。
相手が気落ちしたところに畳み掛ける勢いは凄かったです。
その勢いで2ブレイクアップの5−2とし、最後のサーブをキープ。
アップダウンが行ったり来たりする熱戦を制したサントロが勝利しました。
サントロは期待に違わぬプレイでした。
試合全体としても、まさにサントロ劇場とでも言えるようなドラマチックな内容でした。
試合巧者と言えばその通りなんだけど、その一言では言い表せないような気がします。
そこがマジシャンと言われる所以なんでしょうね。
今日はリターンがホントによく返ってました。
サービスエースを取られた場合はともかくとして、それ以外ではリターンミスがほとんど無かったと言ってもいいほどでした。
たぶん、面を作る感覚が並外れて優れてるんだと思います。
あとは打点と身体の距離の感覚とかですかね。
スピードサーブへのリターンで時間が無いなかで、最適な面を作って最適な打点で打つ。
それが出来ないと、あそこまで良いリターンが連続して返らないと思います。
どちらかと言うと、俺は男子よりも女子選手のほうが詳しいのですが、最適な打点を作るって思い出すのはリンジー(ダベンポート)です。
普通は自分の身体を基点にしてボールに合わせてラケットを振っていくけど、彼女は打点の意識が先に有って、それに合わせて身体を動かしていくと言う説明を聞いたことがあります。
どこで聞いたんだっけ?
テニス雑誌かテレビ解説かで聞いたような?
その辺は忘れましたが、内容は凄く記憶に残ってます。
トップ選手とは思えないほどのフットワークなのに(リンジーごめん)、相手コートへの返球率が物凄く高いのは、その辺に要因が有るんだなと思いました。
彼女本人が話したことじゃない気もするので、本当かどうかは分かりませんが・・・(笑)
まー、こういったことは、やってる本人が一番分からないって気もするけどね。
それから、打点の話と若干かぶりますが、サントロは相手のショットがどうであれ、自分が狙った場所に返す能力が高いと思いました。
テイクバックがコンパクトだし、面を作る能力と共に、同じ動作を再現する能力も高いんでしょう。
これは最近の女子選手では、アナベル(メディナガリゲス)に強く感じる能力です。
あの面の感覚と再現性は、俺が見たことある選手のなかでもトップクラスです。
一発で決めるショットが少ない彼女が、あの位置(21位)にいる要因のひとつだと思ってます。
上の2つと共通しますが、サントロは追い込まれた時のスライス系のショットが抜群に上手いです。
スライスロブを上げ続けて、最終的にスマッシュミスを誘ったポイントは圧巻でした。
これも面感覚とコートの大きさの感覚が、頭ではなく身体で分かってないと無理でしょう。
これはまさにアランチャ(サンチェス・ヴィカリオ)です。
サントロは逃げのスライスも上手いです。
逃げと言うか、ラリーではフォア側のほとんどのショットがスライスですけどね。
彼の場合は他の選手と違い、フォア側でサウスポーの両手スライスみたいになってます。
これも彼独特のスタイルですよね。
サントロの話ばかりになってますが、相手のゴルベフも良いプレイをしてました。
後半はまだまだ若さを感じましたが(サントロに比べれば誰でもそうだけど)、速球とアングルの使い分けもよく、今後に期待をもたせる内容でした。
つまり、スピードボールだけではなく、緩急や回転量の使い分けも上手かったということです。
サーブのコースも良かったです。
ワイドもセンターもギリギリのピンポイントに入ることが多く、サービスでのポイントは結構ありました。
相手がサントロじゃなければ、今日の倍以上、いや3倍はサービスだけでポイント取ってかもしれません。
サントロがバックのダウンザラインをあまり打たないせいもありますが、バックのクロスの打ち合いからのダウンザラインはホントに見事でした。
彼はシングルバックハンドですが、見事にラインに沿ってボールをコントロールしてました。
但し、ファイナルセットの一番の要所では、ネットに掛かることが多くなってしまいましたが・・・。
1・2セットは決まってたバックのハイボレーも、ファイナルの際どい場面でボレーミスになってました。
それらの数本さえ決まっていれば、試合結果は逆になっていてもおかしくない展開でした。
緊迫した場面での緊張感と、サントロの緩急つけたショットが、そういった要所で効いてきたんでしょうね。
ミスしたボレーは、早くポイント取りたくて、打点がちょっと前気味だったかなー。
真後ろからしか見てないから、正確なところはわからないけど。
サントロ劇場、十分に堪能しました。
こんな試合を日本にいながら見ることが出来て、テニスファンとして非常に幸せです。
今日はサントロの応援がかなり多かったです。
外国人ながら、まるでホームで試合してるような雰囲気でした。
試合後はスタンディングオベーションに近いものがありましたよ。
日本での初勝利(たぶん)を祝福されながらの退場でした。
そう言えば、ボールパーソンにボール貰ったあと、ラケットのフレームにボール乗せてました。
ラケット面を縦にした状態、分かりやすく言えばコンチで握った状態かな。
あれには拍手が出てました。
最後は大量にサインをして、長い試合を締めくくりました。
今日はこんなところです。
試合終了は11時すぎでした。
会場に着いたのが8時ごろだから、3時間近くやってたことになりますね。
時間の長さを感じさせない内容でした。
これが無観客試合にならなくてホントに良かった。
明日はセンターコートに8試合が組まれてます。
当日のうちに終わるんでしょうか?
かなり心配ですが、どちらにしても明日も楽しみです。
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