第45回 島津全日本室内テニス選手権大会
SHIMADZU All Japan Indoor Tennis Championships 2009
本戦5日目 2009/3/13(金) Vol.2
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◇vol.1からの続きです。
◆Sergei BUBKA (UKR) def. 三橋淳 (JPN) 7-6(5) 4-6 7-6(4)
03
Aコートの第3試合の予定でしたが、しばらく無人だったCコートに移動になりました。
と言うか、Cコートに選手が出てきて、あーそうなのか、と気付いたんですけどね。
当然、その前にスタッフ達が準備をしてたのは見えてたので、何らかの変更が有るのかな?とは思ってましたけど。
俺が会場に着く前にコート変更のアナウンスが有ったのかもしれません。
試合開始は、確か3時からだったかな。
第2試合の宮村美紀ちゃんvs土居美咲ちゃんがストレートで終わったので、結局、この試合の後に予定されてた第4試合のダブルスとほぼ同じ時刻に始まりました。
最初の数ゲームは他コートをメインに見てましたが、第4ゲームぐらいから近い位置から見ました。
今日は平日ということもあり、観客はそれほど多くはありません。
最初は客席がないコートサイド側で(そこで写真撮りながら見てた)、終盤はコートエンドの前のほうでゆったり見ることが出来ました。
拮抗したスコアになってますが、両者にチャンスとピンチが有り、内容的にも見所満載の凄い試合でしたね。
まず目に付くのは三橋君のフォアハンドです。
速いコートとマッチして、物凄い攻撃力でした。
逆に言えば、相手のボールも伸びてくるはずなのに、よくあんなショットが打てるなって思いました。
そんな感じで、ストロークラリーになると、三橋君が有利なポイントが多かったです。
日本リーグの添田君との試合の時はエライ違いでした。
あの時は、常に先に振りまわされる展開でしたからね。
ブブカと添田君を比べると、ブブカのほうがスピン量が若干多く、添田君のほうがライジング気味で低めのボールというのも有りそう。
あ、念のためですが、ブブカはグリグリスピンというわけじゃないです。
あくまで添田君と比べるとということで、ニュートラルなラリーの時は、むしろ普通の選手よりは回転量が少ないかも。
強力なフォアに目が行きがちですが、今日はバックハンドも良かったです。
ミスが少なく、相手に攻めさせないボールを打ってました。
試合後半は、その安定感に加え、攻撃力もアップしてきました。
彼のバックの高いところからのクロスは、あまり見たことがないような打ち方に見えました。
テイクバックだけじゃなくて、打球時もラケットを縦にしたまま打ってるような?
だからなのか、高くて勢いの有るボールも全く苦にしてませんでした。
構えてすぐに打てるし、身体から逃げてくボールを前に踏み込んで対応しやすいみたいで、あれはひとつの武器ですね。
もちろんフォアのほうが威力が有りますが、バックが明確な弱点にはなってませんでした。
ブブカがフォアを避けてバックハンドにボールを集めても、更に鋭いクロスで自分がコートから追い出されてしまうのです。
それと、バックのラリーばかりしてると、そのうちにダウンザラインに強打されたりします。
ブブカからすると、ここに返しとけば安心出来るというコースが全くない状態でした。
それから、試合後半にびっくりしたのは、フォアもバックも飛びついたところから強力なショットが打てることですね。
あれって前半からやってたかなー?
かなり遠いボールでも、ボールがバウンドした着弾地点に飛びつくようにジャンプして、物凄い勢いのショットを打ってました。
予測が当たらないとダメだと思うので、それほど多くは無かったけど、あれは相手にも観客にも強烈な印象を残すでしょう。
普通は、コントロールが出来なかったり、勢いのあるボールが返らなかったりすると思うんですけどね。
バランス良く身体のバネを使ってるってことでしょうか。
全体的には、三橋君は何年か前に見た時よりも、効率良く身体の力を使うようになったと思いました。
彼の試合を初めて見た時は、身体がクの字になるぐらいに強打していて驚いたもんです。
だって、次の動作に影響するぐらい全身を使ってるように見えたんですよ。
今日のプレイは、そこまで不要なパワーは使わず、だけど全身でボールを打つ、という感じでした。
よりスマートにプレイするようになったというべきでしょうか。
相手のブブカは、一発のショットはそれほど無くて、総合力で勝負するタイプに見えました。
(あくまでこの試合の印象(それも1・2セットだけの印象)で、その後の試合では受ける印象が若干異なりますが。)
ウィナーになりそうなボールでも、よく拾って深いボールを返します。
長身にも関わらず、足はかなり早いほうですね。
それと、単なる足の速さよりもこっちのほうがより重要だと思いますが、追いつけないようなボールでも最後まで諦めません。
相手からしたら、これは脅威ですね。
(足で取ったポイントは、この試合だけじゃなくSF&決勝でも結構ありました。)
試合見てる時に、しつこく返すという点でフランスのシモンを思い出しましたよ。
きっと、小さい頃から、取れそうにないボールに対しても全力で追いかけてたんでしょうね。
じゃないと、あのプレイを急には出来ないと思います。
彼は攻め込まれた状態から深さを出すために、ラケット操作を小さくしてフラット気味に打ってました。
特にバックハンドでこれが多かったです。
あの状態でスピンを打つと、浅くなりがちだと思います。
鋭いボールで先に振られてしまうので、攻撃よりも、まずは相手コートに深く返して簡単に失点しないようにしたというのもあるでしょうね。
でも、そういった深いボールを返し続けても、今日の三橋君が相手では安心は出来ません。
更に叩いてきますからね。
有り得ないところから有り得ない場所に打たれて、ブブカが呆然(または苦笑)する場面は結構ありましたよ。
多用はしませんが、バックのスライスも有効に使ってました。
時々やってたバックハンドスライスでのネットアプローチは非常に綺麗でした。
ライジング気味に前に動きながらのアプローチで、最近ではなかなか見ないフォームでしたね。
バックのスライスでのアプローチは、キレを出すスライスよりは、打点を速くして相手の時間を奪うって感じに見えました。
ブブカは2NDセット中盤辺りから、若干集中力が落ちたように見えました。
というか、あの長い時間、連続したハイテンションは維持出来ないでしょうね。
気が抜けないポイントの連続でしたからね。
今まで返球出来てたボールをミスするようになり、1STセットに比べて粘りが無くなりました。
だからだと思いますが、彼は途中から(ファイナルセット序盤ぐらいだったかな?)、1STサーブに集中して強く打つようになりました。
サーブ以外では簡単にポイントが取れないからだと思いました。
それまでは、そこまでサーブで追い込まなくても動ける自信が有ったんでしょう。
しかし、自分のミスが増えて、尚かつ、相手の調子は落ちない状況なので、早い段階でポイントを取るように切り替えたんでしょうね。
おや?っと思ったのは、デュースサイドからサーブを打つ時、ほとんどダブルスの位置に立つことです。
気づかなかったけど、最初からやってたんだろうか?
いや、その前後でリターンされる確率が大幅に変わったから、途中で変えたんでしょう。
あの位置からスライスサーブを打つと、浅く入って更に鋭角に曲がります。
そのコースを三橋君に意識させておき、次に同じ位置からセンターにサーブを打つのです。
ワイドとセンターの打ち分けのコンビネーションがよく、デュースサイドではほとんどサーブだけでポイントを取ってました。
それまでもスライスサーブは好調でしたが、これによってよりポイントを取りやすくなりました。
逆にアドサイドからはなかなかポイントが取れません。
ファイナルセットは、アドサイドからの1STサーブの確率が非常に悪かったです。
特にセット序盤はほとんど入らなかったのでは?
ダブルフォルトも有ったりして、ブレイクピンチになったゲームは、これが大きな要因でした。
1STサーブが入らないと、リターンから叩かれることになりますからね。
ファイナルセット序盤は、三橋君にブレイクするチャンスが何回かありました。
ほとんど毎ゲームにブレイクチャンスが有る展開でした。
2ブレイクアップとかでもおかしくない展開でしたからね。
特に第1ゲームが長かった。
確か15−40になったんじゃなかったかな。
このゲームだけで何分やってたんだろう。
アドサイドで三橋君がポイントを取ってプレイクポイントになり、デュースサイドでブブカがサーブの力で逃れる。
この展開を何回やったんだっけ?
最後のほうではブブカにゲームポイントが来ましたが、そこでは三橋君がポイントする感じで、10回以上はデュースをやったように思います。
あまりに長くて、第1ゲーム終了後、三橋君は間違ってイスに座ってました。
主審に言われて気づいたみたいで、ベリーロングとか言ってるのが聞こえました(笑)
ファイナルセット終盤には三橋君にもピンチがありました。
そのピンチを、ネットアプローチや際どいストロークを連発して逃れました。
ブブカの場合はようやく逃れたという印象でしたが、三橋君は綺麗にポイントを取って挽回したという印象が強いです。
ピンチで弱気にならず、更に強気に攻めたと言う感じでした。
そして、1STセットに続いてタイブレイクへ入ります。
ここは序盤でブブカがミニブレイクに成功します。
中盤で三橋君が追いつきますが、直後のサーブでまたしてもブレイクされました。
そのリードを保ち、ブブカが7−4でタイブレイクを取り、クロスゲームを制しました。
ファイナルセット序盤の勢いでは、三橋君が断然有利でした。
あと1本取れてれば、って感じです。
ブブカが声を荒げる場面もあり、スコアも内容も有利に運んでたんですけどね。
コードボールとか、運もブブカに有利に働いたのかもしれません。
お互いに言えることでもありますが、ブブカがブレイクを逃れたゲームでは、そういった運が彼に有利に働いたポイントが特に多かったように思います。
最後に書くのも何ですけど、ブブカは棒高跳びの世界記録を何回も更新した、セルゲイ・ブブカさんの息子です。
全く同じ名前ですが、海外ではよくあることですよね。
確か、マッケンローも父親と同じ名前だったはずだし。
ブブカの息子がテニス選手になったという話は数年前に聞きました。
その後はしばらく名前を聞きませんでしたが、ようやく出てきましたね。
彼のプレイスタイルは、上でも少し書きましたが、いま流行りの攻守のバランスが良いスタイルです。
男子テニスは、色んなところで言われてるように、90年代は攻撃一辺倒の選手が席巻してきました。
2000年代に入ってその流れが変わり始め、ここ最近は更にその流れが進化しつつあると感じてます。
ナダル、そして、マレーやシモンなど、攻めだけではなく守りやカウンターも上手いトップ選手の出現です。
モンフィスとかも同じ部類ですかね?
こういった選手は今までもいましたが、クレーコートだけだったりとかで、誰もが認めるトップ選手ではなかったですよね。
よくよく思い返すと、ヒューイット辺りから始まってるんでしょうか、この流れは。
俺がテニス見始めたのは88年とか89年辺りからです。
その後、90年代に入ると、ウィンブルドンに代表されるように、1・2本でポイントが決まってしまう試合が多くなりました。
俺みたいな、選手達の「攻防」が好きな人は、「攻」しかない試合は金太郎飴のようで詰まらなかった・・・。
いや、90年代の選手達を嫌いってわけじゃないんですよ。
サンプラスやイワニセビッチとか、人間味が有るエピソードが多くて、好き嫌いで言ったら好きな選手です。
たぶん、現地で目の前で試合を見れば、凄いショットの連続で興奮したと思います。
だけどテレビでは、サーブの品評会みたいな試合はとても見てられなかった・・・。
現在は、多彩なプレイが多かった80年代終盤に続き、男子テニスが面白い時代だと思います。
ナダルとフェデラーの歴史に名を残す両巨頭を筆頭に、それを追いかける選手達が凌ぎを削り、とてもエキサイティングです。
あ、話がかなり飛んでますね。
この試合に話を戻しますが、2人の持ち味の違いと、その時々の調子の変化により、とても面白い試合でした。
内容的にも最後まで飽きさせませんでした。
ファイナルセットのタイブレイクで三橋君を破ったブブカが、明日のSFに進出しました。
今日はこんなところです。
シングルスの後に男女ダブルスSFの4試合が組まれてましたが、写真は撮ってません。
Cコートのブブカvs三橋君は、目が離せない熱いプレイの連続でした。
それがかなりの長時間に渡って繰り広げられました。
選手入場が3時で、試合終了が6時半、つまり3時間半近くやってました。
クロスゲームを見たときはいつもそうですが、見てるほうもかなり疲れます・・・(笑)
ダブルスはAコートとBコートに組まれてました。
Cコートの隣だから当然目に入りますが、ところどころ眺める程度にしか見てません。
覚えてる内容を少し書くと・・・。
◆1-Aisam-Ul-Haq QURESHI / Martin SLANAR (PAK/AUT) def. WC-会田翔 / 松永浩気 (JPN/JPN) 6-4 6-4
Bコートの第4試合です。
1STセット終盤まで、会田/松永ペアがリードしてました。
リターンが良くて、先に先にブレイク出来てました。
クレシ/スラナーのサーブが悪かったわけじゃないんです。
特にスラナーは、ビッグサーバーと言えるぐらいサーブが速いですからね。
松永君も会田君も、突っ立った状態で肘から先だけを効果的に使って鋭いリターンを打ててました。
時間的な余裕がないリターンの時は、これはとても有効でした。
逆にサービスキープには結構苦労してたように思います。
1STセット終盤に相手にキープとブレイクを許し、スコア的に有利に展開してたにも関わらず、セットを失いました。
2NDセットはあんまり見てません。
(1STセットも詳しくは見てないのですが・・・。)
トップシードのクレシ/スラナーがシード通りに決勝進出しました。
◆青山修子/川村美夏 def. 新井麻葵/井上摩衣子 2-6 7-5 [10-5]
Aコートの第5試合です。
Aコートは、Cコートから見てBコートよりも更に遠いです。
なので、2NDセット中盤辺りまではほとんど見てません。
他コートが先に終わったので、試合終盤を少しだけ見ました。
青山/川村の早稲田ペアは、アングルショットを効果的に使ってました。
ストロークラリーでは、ほとんどこれしか打ってないってほど、多用してたように見えました。
普通にストロークを打ち合うことはせずに、アングルに打って相手を前と横に動かし、次にトップスピンロブを打つ。
その組合せが上手くハマってましたね。
このパターンを多用すると、場合によっては自分たちが不利になるケースも有るでしょう。
スコアが拮抗してたのもありますが、常に緊張感を持ちながらプレイしてたようでした。
1STセットは6−2で新井/井上ペアが取ってるので、ほとんど見てないけど、序盤は違う展開だったんでしょうね。
そう言えば、新井麻葵ちゃんが軽く打つ感じのポーチは何本も決まってたような?
アングル+ロブは、ポーチ封じだったのかもしれませんね。
逆転勝利の青山/川村ペアが決勝に進出しました。
と、こんな感じです。
結果的に、会場にいたほとんどの時間、ブブカv三橋君の試合を見てたことになりますね。
長時間見てたにも関わらず、最後まで飽きさせない内容でした。
明日は男女シングルスSFの4試合と、ダブルス決勝2試合が行なわれます。
まだ見たことない選手もいるので、楽しみです。
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