ダンロップ ワールドチャレンジ 2008
DUNLOP World Challenge Tennis Tournament 2008
ITF Women's Circuit $75K+H ATP Challenger Series $35K+H
最終日 2008/11/30(日)  戻る トップへ


最終日の今日は、シングルス決勝の2試合だけが行なわれます。
男女ともに期待の日本人選手が決勝進出してきました。
大会側も開催した甲斐が有ったと感じてるんじゃないでしょうか。
1コートだけになった今日は、2番〜4番コート間のネット(ボールが他コートに行かないようにするやつ)が取り払われてました。
コート間の仕切りネットは天井から吊るされてます。
特に気にして見てたわけじゃありませんが、どういう仕組みになってるんだろう?と天井を見ると、遥か上の天井付近に巻き取られたネットが有りました。
ということは、臨時に設置したものではなく、常時設置されているのでしょう。
テニスに限らず、ネットを挟んで対戦する競技専用のものなんでしょうか?
いや、年に何回もやらないのに(たぶん)、テニスだけに使うだけだとしたらもったいないと思っただけですけどね。
試合開始は今日も10時半でした。
会場にはその少し前に着いたので、選手入場から見ることができました。
さて、試合に行きましょう。


◆1-添田豪 (JPN) def. 2-Hyung-Taik LEE (KOR) 6-2 7-6(7)

男子シングルスの決勝です。
サッカーの入場のように、エスコートの子供と手を繋いでの入場でした。
この2人は先週の慶応チャレンジャーの決勝でも対戦してます。
その時は、スコアは接戦ながら、リーのペースで試合が進んだように見えました。
つまり、添田君が無理をしなければいけない展開だったということです。
この大会では、昨日までそれぞれ2試合づつを見てますが、内容的に良かったのは添田君だったと思います。
コートが速いからか、リーの鉄壁の守りとカウンターが活かしにくいのです。
慶應CHでは多く見られた、え?そこからそんなショットを打つのか?っていう驚くようなショットが明らかに減ってます。
1週間後の今日は、どんな内容になるのか楽しみでした。

第1ゲームのリーのサーブが0−40になりました。
いきなりのピンチでしたが、そこからポイントを連取してキープに成功しました。
男子の試合では、ピンチになっても、そこで良いサーブが入ってポイントを重ねることは結構有ったりします。
(最近では女子でも多くなってると思う。)
このゲームのリーも、0−40になっても少しも慌てたようには見えませんでした。
添田君は第3ゲームにもチャンスを迎えます。
連続ピンチにさすがのリーも耐え切れず、ブレイクを許しました。
これ以降、今日の添田君はリードされることが有りませんでした。
これはスコア的にも内容的にもです。
セット終盤にもうひとつブレイクし、2ブレイクアップの6−2で添田君がセットを先取しました。

2NDセットは一転してオールキープでした。
お互いにピンチは有りましたが、良いサーブやショットが入ってキープに成功しました。
このセットは両者ともに、そこからそんなコースに打つのかよ!っていうショットが多かったですね。
観客がどよめくようなラリーが多い割にミスが少ないので、観客達も集中して観戦してました。
速いコートでスピードと威力があるショットを打ち合ってるのに、エラーが少ないんですよ。
ラリー中はシーンと静まりかえり、ポイントが決まると溜息と拍手が交錯するという感じでした。
そんな雰囲気のなか、タイブレイクに突入します。
タイブレイクは序盤からリーが先行しました。
それまではどちらかというと添田君が有利な展開でしたが、ここでリードするのは流石だと思いましたよ。
6−3とリードしたリーがセットポイントを迎えます。
と言っても、ミニブレイクがひとつの6−3です。
サーブを2本キープすれば、まだまだ添田君にもチャンスが有ります。
そしてその通りにきっちりキープして、リーの6−5になりました。
さっきの2本は添田君のサーブでしたが、今度はリーのサーブでのセットポイントです。
このポイントを添田君が取り、6オールに追いつきました。
ここはネットに出てきたリーのサイドを抜いたバックハンドのパスだったかな?
いや、ベースラインとサイドラインに際どく乗ったフォアのストロークだったか。
どんなショットでポイントしたかは忘れましたが、今日の添田君はピンチの時のショットが凄かったです。
よくあんなところに打てるなーって感じの、際どいコースに切り返すショットがかなり有りました。
リーにもそういうショットは有りましたが、添田君は重要な場面やピンチの時にそれを打ててました。
つまり、先週の決勝と立場が逆転です。
先週は添田君が呆然と見送るポイントが多かったですが、今日はリーが呆然と見送るしかないポイントが多かったです。
その流れでリーがダブルフォルト。(だったような?)
ちょっと記憶が曖昧ですが、ダブルフォルトじゃなかったとしても、比較的簡単にリーがミスしてしまったと記憶してます。
添田君に再びマッチポイントです。
最初のマッチポイントはリターンが返らずに(ネットだったか?)失いましたが、2ポイント後に再び巡ってきた2本目のマッチポイントを決めて勝利しました。

さっきも書きましたが、慶応CHの時と展開がまるで違いました。
サーフェスの違いも大きいのでしょうか?
リーに守備力を発揮する間を与えないほど、添田君の攻めが鋭かったです。
慶応の時はボレーに出てもパスで抜かれることが多かったですが、今日はボレーの回数こそ少ないものの、綺麗に抜かれたのは1本2本程度だったと思います。
特に、やっと届いたフォアボレーを強引にコートにねじ込んだ、あのポイントは凄かった。
あの時は、ボレーミスや抜かれても全然おかしくないような強烈なパスでしたからね。
試合全体としては、リーの強烈なフォアのクロスを苦にしなかったのが大きったと思います。
いや、実際凄い勢いで飛んでくるから、苦にならないとは思えませんが、読みとフットワークが良かったから逆にウィナーに繋げられたりしたんでしょうね。
2NDセットとタイブレイク前半では、リーのこのショットが有効な場面も有りましたが、全体としては封じることに成功してました。
先にダウンザラインに展開出来たのも、リード出来た要因のひとつだと思います。
リーは常にダウンザラインをケアする必要が有るためか、振られた時に出足が一歩遅くなって、スライスでも返球出来ないポイントがかなり多かったです
彼は今日もリターンの時以外は比較的前めのポジションでした。
やはりサーフェスが速いからでしょうか。
これもミスが増えた一因のような気がします。
先週の鉄壁の守りを間近で見てるから、そう思うのかもしれませんね。
もう凄かったですから、先週のリーは。
添田君が先週のリベンジを果たすとともに、今年だけでチャレンジャー4勝目を決めた試合でした。


◆2-森田あゆみ (JPN) def. WC-Ksenia LYKINA (RUS) 6-1 6-3

女子シングルスの決勝です。
昨夜発表されたオーダーを見て、あれ?って思いました。
男子→女子の順に試合が組まれてたからです。
ダブルス決勝も同じ順番でしたが、伊達ックが出場するから女ダブがメイン扱いなんだと思ってました。
考えてみたら、賞金総額が倍以上違うんですよね。
男子は$35K+H、女子は$75K+Hですから。
だから、この順番に試合が組まれたのでしょう。

男子シングルスがかなり疲れを誘う試合だったので(つまり良い試合だったということ)、序盤はロビーに出て休憩したり、上のほうの席でまったりしてました。
最初の3ゲームは詳しくスコア展開を見てないのですが、確か、第1ゲームのあゆみちゃんのサーブがいきなり0−40になりました。
そこから逆転してキープに成功したあゆみちゃんが、次のセニアのサーブをブレイクしました。
第2ゲームは30オールから2ポイント連取だったかな?
つまり、ちょっとした展開の違いによって、逆にセニアの2−0も有り得ました。
その後の流れを見ると、序盤がどうであろうと、あゆみちゃんが有利に展開したような気もしますね。
この2ゲームによって、それが更に加速したのは有るかもしれません。
第4ゲームでセニアが初キープに成功しますが、それ以外はあゆみちゃんが取り、6−1でセットを先取しました。

2NDセットに入ると、早い展開で振り回してセニアもキープ出来るようになりました。
しかし3オール後のサービスゲームが0−40とブレイクピンチになります。
ここでワイドに角度をつけたサーブを打ったセニアが「カモン!」と声をあげます。
あゆみちゃんのリターンがネットすると思ったんでしょう。
確かにそんな軌道ではありましたが、このリターンがネットぎりぎりを越えてセニア側のコートの浅めの位置に落ちました。
(コードボールではなかったはず。) ドロップ系ではないので、取ろうと思えば簡単に拾える場所でした。
アドサイドからサーブを打ったセニアの目の前でしたからね。
でも、アウトと思った彼女は反応出来ませんでした。
このポイントでのブレイクはショックが大きかったはずです。
ゲームが終わってもしばらくは立ちすくんでましたからね。
いや、あの「カモン」はあゆみちゃんだったのかな?
それにしては言うのが早すぎるタイミングだったし(ネットを越える前に言ってたはず)、やはりセニアが言ったんだと思います。
このブレイクよって、流れが大きくあゆみちゃんに傾きました。
その後は淡白なショットが多くなったセニアに対し、あゆみちゃんが更に攻勢をかけます。
そのままゲームを連取して6−3でセットを取り、ストレートで勝利しました。

あゆみちゃんの早い展開の振り回しは非常に有効でした。
セニアが構えてるのに、差し込まれたようなミスは多かったですからね。
しかし今日はそれだけではなく、振り回された時に走り回って何とか返球してたのも大きいと思いました。
ラリーの時にスピンボールで相手を外に追い出したりもしてました。
一見、強打だけを叩き込んでるように見えがちですが、細かく見ると、色んな面で相手にプレッシャーをかけてたと思います。
セニアはスピードボールと展開力を兼ね備えた選手だと思いますが、今日は自分の展開をする以前に、あゆみちゃんのスピードボールをさばききることが出来ませんでした。
思うようにならなくて、声を上げる場面はかなり有りましたから。
彼女を見て、何となくリトルマーシャ(キリレンコ)を思い出しました。
細くて小さい、キレのあるショットと展開力を持つなど、共通点は多いと思います。
今大会だけでも3人のシードを破ってるし、これからますます強くなるでしょうね。
あゆみちゃんは一皮向けたところを見せてくれました。
淡白に見えがちだった彼女のテニスですが、WTAツアーでもまれたことによって、更に1段上がったようです。
来年の2人に期待です。


今日はこんなところです。
主催者や日本の観客達にとっては最高の結果になりましたね。
特に男子のチャレンジャーは、ここ数年、貴男君以外の優勝はほとんどなかったように思います。
添田君は今年だけでチャレンジャー4勝目とのこと。
ランキングも100位に近づいてきて、錦織君と共に、まさかの「TOP100に2人の日本人」が実現する可能性が有りますね。
グレードが高い女子は優勝ポイントも高いので、あゆみちゃんの100位内復帰は確実でしょう。
GSで1勝でもすると、更に自信がつくでしょうね。
さて、今年の生観戦はひとまず終了です。
7月8月と全く観戦しない月が有りましたが、終わってみれば、それなりの数の大会を見てますね。
ここ4年間では、一番少ない大会数ではありますが。
日数で換算すると、更に少なくなってるはずです。
東レやAIGなどの大きな大会以外の観戦日数はかなり減りました。
ビッグマッチ優先の観戦スケジュールは来年も変わらない予定です。
あ、でも、例年だと車椅子の大会が年末に有ったような?
今年も有れば見に行くかもしれません。
来年はATPとWTAのツアー構成が変わり、それに伴なってランキングシステムも変更になります。
これがどういう影響をもたらすんでしょうか。
試合と共に、そういった面での変化も興味深く見ていきたいと思います。


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