東レ パン・パシフィック・オープン
Toray Pan Pacific Open Tennis
本戦4日目 2008/9/19(金) Vol.1  戻る トップへ


本戦4日目です。
いよいよQFですね。
準々決勝は一般的に一番面白くなると言われてます。
その理由を推測すると、4試合も有れば全部が凡戦ってことは無いだろうし、勝ち上がってきた調子が良い選手同士の対戦になるからでしょうね。
今日のシングルス4カードも、競うかどうかは別にして、異なるタイプの対戦が多く、楽しみでした。
プレイスタイルが一番近い対戦は、4試合目のディナラvsカイアでしょうね。
この試合は壮絶な打ち合いが予想されますが、他の3カードは、有利不利は有れど、内容的にはやってみなけりゃ分かりません。
そんな金曜日でしたが、今日も相変わらず天気が悪いです。
アウトドアでやるのは1日中無理では?と思わせる空模様でした。
試合数が少なくなる今日以降は、13時から試合開始です。
会場へは1時間遅れぐらいで着きました。
さっそく試合に行きましょう。


◆5-Svetlana KUZNETSOVA (RUS) def. 1-Jelena JANKOVIC (SRB) 2-6 7-5 7-5
01
第1試合です。
今日は1番コートにダブルスが組まれてますが、シングルスに出場するナディアとAgnieszkaのレスト後なので、今はセンターコートだけで試合が行なわれてます。
見たのは2NDセット中盤辺りからでした。
1STセットはJJがスコア的に簡単に取ってます。
(あ、JJというのは、ヤンコビッチ嬢のことですよ。)
このセットは見てないので分かりませんが、たぶんJJの粘りとカウンターショットにスヴェタが耐え切れず、最終的にミスをする展開だったような気がします。
彼女の場合は、カウンターショットというよりは、狙いすました一撃って感じですかね。
テレビで見てるとそこまでは感じませんが、生で見た昨日の試合は凄かったですから。
特にバックハンドのダウンザラインが素晴らしい。
カウンターショットの定義にもよりますが、彼女の場合、攻め込まれた時の逆転のショットというより、通常のラリーから突然のように鋭いダウンザラインを打つ印象が強いですね。
2NDセットは、1STセットを先取したJJがブレイクしてスタートします。
しかしサービスキープが出来ません。
これはファイナルセットも同じで、ブレイクゲームが続きます。
1STサーブが入らないと、リターン側が有利になってしまうのです。
サーバーに関係なく、どちらがゲームを取るか分からない流れで、セット終盤まで競った展開でした。
そんな流れながら、2NDセットは最後の2ゲームをスヴェタが取って、セットオールとしました。
ストレート決着かと思う場面も有ったんですけどねー。
僅か数ポイントの結果が違っていれば、それも十分有り得たでしょうね。

ファイナルセットも一進一退でした。
内容的にも、お互いに簡単なミスが減り、際どい攻防が続きます。
正直なところ、日本でこのレベルの試合を見れるとは思わなかったです。
選手の気持ちになれば、どうしてもグランドスラムや自国の大会が重要になるはずですからね。
1球1球の応酬に引き込まれました。
コートエンド1列目のほとんどベスポジで見たせいもあるかも。
スヴェタはフォアで勝負をかけます。
これは彼女のいつものスタイルですね。
バックに振られた時は、オープンスタンスでスライドフットワーク気味に返球することが多かったです。
バックハンドスライスはウィナー級のショットを打たれた時の返球ぐらいにしか使ってませんでした。
浮いたスライスになってしまうと、チャンスボールになってしまう可能性が高いからかな?
片手スライスのほうが自分の体勢を整えるのには良さそうですが、それよりはボールのスピードや威力を優先したのかもしれません。
選手によって、やりやすいやりにくいは有ると思うので、一概にどっちが良いとは言えないですけど。
鋭いフォアハンド(特に逆クロス)を数多く見ましたが、攻撃的なバックのクロスも素晴らしかったです。
鋭角に飛んで行き、バウンドしてもスピードが落ちずに逃げていきます。
彼女がミスなく攻撃的にプレイした時は、相手が誰でも脅威を感じるでしょうね。
ここ数年はエラーを減らす方向に変わってきましたが、元々はミスを気にせず打ち抜くスタイルでしたからね。
冒頭でも書きましたが、JJはバックのダウンザラインが素晴らしいです。
高い打点からあんなふうに強いショットが打てるのは凄いです。
頭ぐらいの位置から、一直線に矢のようなショットがダウンザラインに放たれるのです。
生で見たことは無いですが、マリー(ピアース)の弾丸ストロークに似てるかも。
彼女が調子良い時は、頭の上辺りの普通は力が入らない打点からの強打が凄かったですから。
そんな感じで、お互いに持ち味が出たラリーが続きますが、最後は2NDセット同様に僅差でスヴェタが取り、勝利しました。

この試合は、皇太子殿下の天覧試合でした。
(天皇陛下以外でも天覧試合って言うのか分からないけど・・・。)
だからなのか、試合後にインタビューがありました。
東レ恒例の、ファンからの質問をアナウンサーが聞くというコーナーもありました。
サービスが入らない時はどうするか?とか、ファンから貰ったもので一番嬉しかったものは?とかだったかな。
ユーモアを交えた返答で、インタビューを聞いて彼女が好きになった人も多いのでは?
サインボールの打ち込みでは、最後の1球を皇太子殿下へ向かって優しく打ちました。
これを殿下が見事にナイスキャッチで、会場は大きな拍手に包まれました。
後で見たGAORAの中継では、スヴェタが打ったところしか映ってませんでしたが(キャッチしたボールを殿下が持ってるところは映ったけど、キャッチした瞬間は映ってなかった)、実は1球目は優しく打ちすぎてVIP席に届きませんでした・・・(笑)
2球目はどんぴしゃで殿下の目の前でしたね。
アナウンサーによるインタビューが終わってから、彼女は自分からマイクを要求して、殿下に見ていただいて感激していると話してました。
ロシア国籍のスヴェタですが、テニスに関しては王室があるスペイン育ちと言ってもいいので、そういうのは慣れてるのかもしれませんね。
試合内容、試合後のセレモニー(?)を含め、素晴らしい内容の第1試合でした。
トップシードのJJを破り、スヴェタがSFに進出しました。


◆Nadia PETROVA (RUS) def. 6-Agnieszka RADWANSKA (POL) 6-3 6-0
02
第2試合です。
最近では珍しくなった、対照的なプレイスタイルの対戦ですね。
ナディアの強烈なサーブとストロークを、試合巧者のAgnieszkaがどうさばくのか。
試合結果よりも、その辺りの内容に興味がありました。
Agnieszkaは、相手のショットに押される場面は多かったですが、序盤は強打をさばくことにかなり成功していました。
それに加え、アプローチやドロップもかなりの確率で成功し、拮抗した内容のラリーが多かったです。
今日もハイボレーでのポイントが有りましたね。
彼女はこういう小技が抜群に上手いです。
しかし、除々にそういったことが出来なくなりました。
ナディアの強烈なショットに振り回され、返球するだけで精一杯という状態が多くなります。
特に、バック側に釘付けにされて、最後にフォアに振られる展開が多かったです。
この場面で甘い返球になってしまうことが多く、その後に更に振られてポイントを失う展開でした。
何とかしたいのは分かりましたが、試合後半のナディアはミスが少なく、あれではどうしようもないですね。
Agnieszkaがポイントを取ってもゲームには繋がるほどではなく、2NDセットはナディアがベーグル勝利でした。
一見、一方的で詰まらない試合のように見えますが、序盤→中盤→終盤と流れが変わり、興味深い内容でした。
こういう展開になってしまうと、Agnieszkaのようなタイプの選手はどうしたら良いんでしょうね。
そうならないようにするのが上手い彼女でさえ、どうにも出来ないように俺には見えました。
この辺は今後の課題でしょうか。
2回戦に続いてシード選手を破り、ナディアがSFに進出した試合でした。


◆Q-Katarina SREBOTNIK (SLO) def. 3-Elena DEMENTIEVA (RUS) 6-3 6-4
03
第3試合です。
これも凄く面白い試合で、かつ凄い内容の試合でした。
特に終盤は目が離せないポイントの連続でした。
試合序盤はデメちゃんが先行しました。
(例によって休憩中で、この辺りはロビーのモニターでちょこちょこ見てただけですが・・・。)
1STセット中盤以降、カタリナのサーブとストロークが冴えを見せ始めて逆転に成功。
劣勢をひっくり返してセットを先取します。
この展開にはびっくりでした。
最初の頃はデメちゃん有利なラリーが多く、確か1ブレイクアップしてたんじゃなかったっけ?
つまり、スコアも内容もリードしてたということです。
1STセット中盤ぐらいまで、やっぱり長年TOP10に入ってる選手は違うなーと感じてたんです。
俺が思うに、上位選手は攻守のバランスが良くて、ポイントを効率的に取っていきます。
下位選手が相手の時は、自分のMAXを超えた攻めをする必要がそれほど無いため、余計にそういった面を感じます。
(時には自分ひとりでウィナーとエラーを量産する場合も有りますが・・・(笑))
簡単に言えば、1ゲームに1・2本の凄いショットを打てば、あとは普通にやってれば勝てるみたいな感じですかね。
そんな流れの序盤でしたが、ギアを上げたカタリナが追いつき、そのまま抜き去った1STセットでした。

1STセット終盤の流れのまま、2NDセットもカタリナがブレイクして先行します。
これはデメが危ないと思いきや、ブレイクバックに成功。
カタリナに傾いた流れにストップをかけます。
しかしこの後のカタリナが凄かった。
インドアということも有りますが、サーブの音がひときわ大きく聞こえるほど、1STサーブが強烈でした。
フォアの強打もほとんどミスなくコートに突き刺さります。
もう、ほとんどゾーン状態です。
バックのクロスも鋭角に決まります。
更にはネットでの動きも良く(これは元々ですが)、穴がありません。
その流れで再びブレイクに成功。
最後のデメちゃんの反撃に対しても、抜群のネットアプローチとボレーで封じ、まさかのストレート勝利でした。
いやいや凄かったですよ。
デメちゃんの調子が悪かったわけではありません。
どちらかと言えば好調の部類だったと思います。
強い足腰を活かした、彼女特有の信じられないような大逆転のストロークも健在でしたからね。
その彼女に対し、カタリナがサーブ、フォア、ネットプレイを駆使してねじ伏せました。
かわしたり粘りまくっての勝利ではなく、真正面から打ち砕いた完璧な勝利と言っていいでしょう。
このテニスなら、デメちゃんだけじゃなく、誰にでも勝てる可能性が高いと思います。
攻撃的なプレイは波が有るし、それを毎試合やるのは非常に難しいでしょうけど・・・。
2回目のサービスブレイクで、デメはラケットを叩きつけ、ウォーニングを取られました。
ポイントごとに声を上げる場面もあり、挽回しようと必死でプレイしてたのは伝わってきました。
しかし今日は相手が良すぎました。
仕方ないと言うしかないでしょうね。
予選から出場のカタリナがベスト4に進出した試合でした。


◇vol.2へ続きます。


戻る
トップへ