カンガルーカップ2008
ITF Women's Circuit $50K / Kangaroo Cup 2008
本戦3日目 2008/5/1(木) Vol.1  戻る トップへ


カンガルーカップに行ってきました。
今年は休みが不規則だし、入場整理券を応募し損ねたから、観に行かないかもなと思ってました。
でも、復帰第一戦の伊達ックが予選3試合を勝ち抜いた上に、本戦1回戦で里華ちゃんにまで勝ってしまいました。
公式戦の伊達ックを見たい!と観戦欲(?)を大いに刺激されましたよ。
オーダーを見ると、彼女のシングルスの試合はセンターコートの第2試合に組まれてました。
どうせなら早く行って他の試合も見たいです。
朝早く起きて(5時半起き!)第1試合も見れる時間帯に会場に着くように家を出ました。
会場には着いたのは10時10分過ぎぐらいだったかな。
(試合開始は10時。)
さっそく試合に行きましょう。


◆Q-Ana SAVIC (CRO) def. WC-奈良くるみ (JPN) 6-4 6-3

A1番コートの第1試合です。
コートから遠いほうの停留所に止まるバスだったので、そこから近いアザーコートから見ることにしました。
サヴィッチという選手は初めて見ました。
ファーストネームの「アナ」は万国共通だけど、名字はいかにもクロアチアって感じの名前ですよね。
最近のクロアチアのトップ選手って、みんな「〜ッチ」じゃないですか?
男子のルビチッチ、アンチッチ、カルロビッチを初め、女子でもコスタニッチがいるし。
隣国のセルビアを含めるともっとたくさんいますね。
イワノヴィッチ、ヤンコヴィッチ、ジョコビッチ、ティプサレヴィッチ、ジモンジッチとか。
でも、東欧の女子選手に共通する「〜ova」は付きませんね。
詳しく知らないけど、言語や民族によって色々有るんでしょうね、きっと。
さて、そのサヴィッチですが、長い手足を活かしたサーブが速かったです。
ストロークラリーは互角ながら、今日はこの差が大きいように思いました。
まー、数ゲームしか見てないので、全体的にどうだったかは分からないのですが。
見た時は、くるみちゃんも良いショットを打ってました。
確か、ブレイクポイントとか有ったはずだし。
試合後半は見てませんが、1STセットを取ったサヴィッチがそのまま押し切り、ストレート勝ちでQFに進出しました。


◆米村知子 (JPN) def. Nicole KRIZ (AUS) 6-4 6-4


◆3-Melanie SOUTH (GBR) def. WC-黒田祐加 (JPN) 6-3 6-2

センタコートの第1試合です。
1STセット終盤から最後までを見ました。
Melanieは、ここ最近毎年のように来日してくれる選手ですよね。
今年は第3シードですか。
ここまで上位シードになるのは初めてでは?
試合は、終盤に行くに従って、彼女の1発1発のショットが有効になっていったように思います。
サーブ1本でエースを取ったり相手ラケットを弾く。
フォアハンド1本でウィナーやフォースドエラーを誘う。
そういう場面がかなり有りました。
先に攻撃しようとして(たぶん)黒田祐加ちゃんのミスが増えたのと相乗効果になり、後半は彼女の一方的なペースでした。
シードを守り、MelanieがQFに進出しました。


◆Q-クルム伊達公子 (JPN) def. WC-山外涼月 (JPN) 7-6(8) 6-2

伊達ック出場の今日の大一番です。
試合前にテレビカメラが何台も入り、客が一杯になった辺りで入場整理券のチェックも行なわれました。
正確には数えてないけど、テレビカメラは7〜8台は有ったんじゃないでしょうか。
そんな中、2人が入場してきました。
客が多すぎるからか、いつもの入退場口ではなく、道路側の入口からの入場でしたね。

伊達ックの公式試合を生で見るのはいつ以来だろうか?
記憶に有る生観戦は、89年フェデレーションカップ(現フェドカップ)、91年ニチレイレディース、92年東レPPOの3回。
16年ぶり4大会目かな、たぶん。
1大会で複数の日を見てるから、試合数にするとはもうちょっと増えると思う。
まー、でも見た記憶というか、レポートに有るから見たんだなって分かるってことなんだけどね・・・(笑)
これだけ長い間、数多くの試合を見てると、生で見たのかテレビで見たのか分からなくなるんですよ。
見たかどうかあやふやな試合は、それこそたくさん有るしね。
さすがに海外の試合はテレビ観戦って分かるんですけどね(笑)

山外涼月ちゃんの試合は初めて見ます。
何年か前の選抜ジュニア(柏のTTCでやるやつ)で見たような気もしますが、その時は奈良くるみちゃんの印象が強すぎて、残念ながら他の女子選手はあまり覚えてません。
(表彰式での集合写真には載ってるかも。)
彼女のテニスを一言で表現すると、回転を操るのが上手いという感じでしょうか。
最近ではそれほど多くはない、大きなループスウィングから放たれるトップスピンは威力が有ります。
これはフォアもバックもです。
そして、回転量が多い滑るスライス。
日本の女子は両手打ちのスライスを打つ選手が多いですが、彼女はスライスもボレーも片手です。
スライスの時はちょっと両手打ちの名残が有りますが、基本はシングルハンドです。
(普通のバックハンドは両手打ちです。)
ボレーも上手いですね。
女子はパワーが無いからか、ラケットを振り回してしまう選手が多いです。
トップ選手でもその傾向が有ると俺は感じます。
彼女はボールの軌道にラケットをセットするのが早く、打球時も面を大きく動かしたりしません。
打ちたい方向に面を作るという、ボレーヤーの見本のようなラケット使いをしてました。
文章で書くと簡単ですが、女子でこれが出来てるのを見ることはかなり少ないです。
(ボールの威力に打ち負けるか、面がブレてボレーミスになることが多い。)
ボレーの面作りが上手いから、打ち込まれたショットでも綺麗にオープンコートに返せるし、ドロップボレーのタッチも良かったです。
全体的な特徴として、日本人に珍しいクレーコートが得意な選手のように見えました。
トップスピンと小技が上手いというと、男子のクレーコーターのイメージですからね。
こういうふうに特徴を挙げていくと、伊達ックとは逆のイメージが多いです。
数ゲーム見た段階で、これからどういう展開になるのか楽しみでした。

序盤(2オールまで)はサービスキープが続きます。
最初にサーブを落としたのは伊達ックでした。
この辺りではフォアがネットにかかるのが多かったかな。
白帯に当たるのが多かったから、それほど大きなミスショットではなく、ほんのちょっとスピンの勢いに食い込まれたのかもしれません。
山外涼月ちゃんは、伊達ックのフォアを攻めてました。
フォア攻めは伊達ック攻略法の基本ですよね。
試合序盤、バウンドしてから大きく弾むスピンを使い、伊達ックをコート右側に釘付けにする作戦はかなり有効でした。
それにタイミングが合わずにネット、または大きくサイドアウトというのが多かったですから。
ネットにも積極的に出て、ボレーでかなりポイントしてました。
1STセット終盤ぐらいまで、ボレーはノーミスだったんじゃないかな。
そんな展開で山外涼月ちゃんが1ブレイクアップとリード。
そのまま行くかと思われましたが、伊達ックもブレイクバック。
そのままキープが続き、タイブレイクへと突入しました。
このタイブレイクは今日の試合の流れを象徴してましたね。
序盤は5−1と山外涼月ちゃんが大きくリードします。
このポイント差ではもう決まりかと思ったら、そこから伊達ックが反撃。
5オールに追いつきました。
その後は相手サーブからのセットポイントが伊達ックに何本か有りましたが、ここは山外涼月ちゃんがしっかりキープ。
山外涼月ちゃんには有ったかな、セットポイント。
有ったかもしれないけど、セットポイントを凌いだ場面のほうが大きく印象に残ってるなー。
ここを取れば伊達ックが絶対有利!という場面をことごとく逃れてたように記憶してます。
最後は、初めて自分のサービスでセットポイントとなった伊達ックがキープし、10−8でセットを先取しました。
いやいや、凄かったですよ、このタイブレイクは。
永遠に終わらないような気さえしたしね(笑)
タイブレイクの前を含めて伊達ックが逆転出来たのは、フォアの調子がよくなってきたからだと思います。
ミスが減ったのも有るけど、攻撃された時の返球が凄かった。
2NDセットも含めてクロスのパスは何本も抜けてたし、特にスマッシュ(だったと思う)を切替してウィナーに繋げたポイントは凄かった。
あんなの自分がやられたら心が折れそう・・・(笑)
リターンでかなりポイント出来たのも大きいと思います。
リターン自体で直接ウィナーを取るというわけではないのです。
サーブを打った直後の足元に深いショットを打ち、打点を食い込ませてエラーを誘ってました。
試合中盤から後半、これはかなり有効だったように思います。
でもこれって、伊達ック自身も現役時代に結構やられてましたよね。
マリー(ピアース)に負けた試合とか、それが原因だとテニス雑誌かなんかに書かれてたのを見たことあるな。
2NDセットで1ブレイクアップしてからは、伊達ックのワンマンショーでした。
山外涼月ちゃんにそれまでの集中力が無くなったのも有りますが、そうさせたのは伊達ックの勢いですね。
もう、全てのショットがコートに突き刺さる感じでしたよ。

今日の試合を見て感じたことがあります。
伊達ックは「試合勘」はまだまだ取り戻してないのかもしれないけど、「勝負勘」は全く失ってないなと。
ちょっと抽象的ですが、「試合勘」は試合をしていく内に身に付くもの、「勝負勘」はそれとは別に生まれ持った勝負に対する嗅覚のようなもの、というイメージでしょうか。
たぶん打ち合っているうちに、「頭」ではなく「体」で相手の弱点が分かるのだと思います。
そう感じるほどの凄さを感じた試合でした。
ここまでの試合も、その「勝負勘」を使って勝ち上がってきたのだろうと推測出来ます。
試合後、マスコミへのアナウンスで、記者会見はダブルスの後に行なうと放送が有りました。
こんなのカンガルーカップで聞くのは初めてです。
さすが注目度が違います。
明日は藍子ちゃんか恵利加ちゃんになるかこの時点では分かりませんでしたが、どちらにしても二人はかなり苦戦するだろうな、と感じた内容でした。


◇vol.2へ続きます。


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