Dream Match 2008
ドリームマッチ2008 〜伝説の女王たち〜
2008/3/15(土) Vol.2
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◇vol.1からの続きです。
◆Steffi GRAF (GER) def. Martina NAVRATILOVA (USA) 8-7(10-5)
俺の中では今日のメインカードです。
この対戦を最後に見たのはいつだったか?
記憶に有るのは93年の東レSFですね。
この時は準決勝での対戦で、マルチナがフルセットで勝利しました。
話が逸れますが、東レのマルチナ絡みで印象深いのは、ガビーとの2年連続(91&92年)の決勝ですね。
2年連続でフルセットでの敗退でしたが、スライスからのネットの取り合いで緊迫感有る試合でした。
当時はこういうネットを取るスタイルの選手がまだまだいました。
ガビーは今のアメリーみたくストローカーからの転向組ですが、ヘレナ(スコバ)、パム(シュライバー)、ジナ(ガリソン)、ヤナ(ノボトナ)、ロリ(マクニール)、ラリサ(サブチェンコ)等々、思いつくだけでもすぐに何人かの選手を挙げられます。
細かく見れば、アプローチ勝負型やボレー勝負型など様々ですけどね。
ガビーとの対戦で言えば、90年のウィンブルドンもよく覚えてます。
この試合では、強烈なトップスピンが持ち味のストローカーだったガビーが、全てのポイントでサービスダッシュしたのです。
マルチナに勝つためには、自分が得意なバックコートからの組み立ても入れたほうが良いに決まってます。
(少なくとも俺はそう思う。)
しかし、最強のネットプレイヤー相手にボレー勝負を挑み、両セットともに1ブレイク差ながら(だったはず)ストレートで敗れました。
この試合を見て、ガビーの強い決意を感じましたね。
そして、直後のUSオープンの決勝でシュテフィにストレートで勝って優勝!
彼女の努力が実った試合だったと思います。
その後の1、2年は、彼女が最も乗ってた時期ですね。
シュテフィにも連勝してたし。
93年辺りからは、メアリジョーに6−1、5−1から大逆転で敗れたショックからか、勝てなくなってしまいましたが。
このエキジビションって、開催を発表した時はマルチナじゃなくてガビーだったんですよね。
あの豪快な片手バックハンドをもう一度見てみたかったですが、今から考えると、彼女のプレイはかなりのパワーと身体バランスが必要だろうし、今回のシュテフィと伊達ックと同じレベルのプレイをするのは難しかったかもしれません。
あ、ガビーの話になってしまいました。
話を戻しますが、マルチナvsシュテフィの全米での最後の2つの対戦は、かなりはっきりと記憶に残ってます。
89年は、6−3、4−2(4−1だったかな?)と1セットアップの1ブレイクアップとリード。
そこからブレイクバックされ、結局5−7で2NDセットを落とします。
この4を取ったゲームの直後、あと2つと指を2本出した場面は今でもはっきり覚えてます。
(あと2ゲーム取れば勝てるという意味です。)
たぶん、最初に放送を見た時は何も感じなかったんでしょうけど、後から聞いた話が印象深かったから覚えてるのだと思います。
この試合の後、再び1位を取り返すため、マルチナはビリージーン(キング)をコーチに雇います。
ビリー・ジーンはこの場面を繰返し見せ、先を考えずに1ポイント1ポイントを重要にしなさい、と言い聞かせたということでした。
どこで聞いたんだったかな、この話は。
テニス雑誌で見たのか、テレビ中継で実況か解説が言ってたのか?
覚えてませんが、どういうわけか物凄く印象に残ってます。
この試合でもうひとつ記憶に有るのは、ファイナルセットで2ブレイクダウンの1−5とされた場面です。
このゲームは、シュテフィがポイントを連取してブレイクポイント。
(15−40、いや0−40だったか?)
最後のポイントは、確か1STサーブが入らずに2NDサーブでした。
マルチナはサービスダッシュ出来ずにステイします。
これは仕方無いでしょうね。
飛ぶ鳥を落とす勢いのシュテフィに対し、1ブレイクダウンでも厳しいのに、2ブレイクダウンは絶対避けたい。
簡単にポイントを落とす可能性の有るサービスダッシュはしませんでした。
ストロークラリーになり、その最後にシュテフィは珍しくバックのスライスからネットアプローチをしてきました。
右利きのシュテフィがダウンザラインへアプローチしたので、サウスポーのマルチナはバックハンドでパスを打たなくてはいけません。
マルチナはドライブ系の強打でダウンザラインにパスを打ちました。
これに対し、シュテフィはオープンコートにバックボレーでボレーウィナー。
スコアはシュテフィの5−1になりました。
マルチナの心底ガッカリした仕草が印象に残ってます。
当時はインターネットが無いので、録画中継のTBSを食い入るように見てました。
現地ではとっくに結果は出てますが、情報が無いということは生でも録画でも同じですからね。
画面の中の配置まではっきり覚えてますよ。
シュテフィが画面の向こう側で、比較的ローアングルのカメラから撮った映像でした。
アプローチしてきてボレーしたところは今でもはっきり思い出せますよ・・・。
10数年経った今でも、テニスでこんなに悔しい敗戦は無いなー。
(これは草大会とかでの自分の試合も含めてだけど。)
5−1と大きくリードしたシュテフィは、次のゲームをキープして4−6、7−5、6−1の大逆転で全米2連覇を達成しました。
91年のSFでの対戦もまた印象深いです。
セットを取り合ったファイナルセット、お互いにサーブが不調になります。
特にシュテフィは、いったいどうしたのか?ってぐらいひどかった。
確か、ダブルフォルトを何本もしてたはず。
2人の対戦では珍しく、ブレイク合戦になってました。
シュテフィは最初の3つのサービスゲームを全て落とし、1ゲームだけキープしたマルチナが4−1(だったような?)とリード。
その後、危ない場面はかなり有りましたが、マルチナが何とか振り切ってフルセットで勝利しました。
珍しくミスを連発するシュテフィに対して、あそこまで競うのはどうか?って感じですが、見てる時はヒヤヒヤでしたよ。
あれで負けてたら、見てるこっちも立ち直るのに時間掛かったかも。
常々、完璧なシュテフィに勝ってほしいと思ってましたが、この時ばかりは、もう相手のミスでも何でも良いからポイント取ってほしいって感じでしたよ・・・(笑)
SFでシュテフィに勝ったマルチナですが、決勝では日の出の勢いのモニカ(セレス)にほぼ完敗。
1STセットは競ったんだけどなー。
ほとんどポイントを取れずにタイブレイクを落としたのが痛かった。
2NDセットは一方的にモニカが取り、7−6、6−1で全米初優勝を飾りました。
この対戦で覚えてるのは、マルチナが1本だけバックのドライブ系のショットでアプローチした場面です。
他は全部スライスだったので、このポイントだけよく覚えてます。
マルチナにしたら冒険のショットで、相手を驚かせようという意図だったと思いますが、これはモニカが簡単にパスで抜きました。
全く動じなかったということですね。
同じことは、シュテフィに対したアランチャ(サンチェス・ビカリオ)にも感じたことが有ります。
バックハンドはスライスが主体のシュテフィが、パス以外でごくごくたまーにフラットを打つことが有ります。
この時、アランチャはほとんど次のショットでポイントを取ってたと思います。
待ち構えてたということですね。
まー、違う結果になることも有ったでしょうけど、俺が細かく見てた試合では全部そうだったと言ってもいいぐらいでした。
またまた話が脱線しました。
こういう昔話って他に書くところが無いし、新しい記憶と共にどんどん忘れるんですよね。
91年のSFだってスコア展開まで覚えてたはずなのに、今となってはブレイク合戦だったってことしか覚えてない・・・。
まー、現時点での記憶ってことで、とりあえず覚えてることで関係有りそうなことを書いてみました。
読んで分かると思いますが、テニスを見始めた頃(88か89年ごろ)からのマルチナファンです(笑)
さて、ようやく今日の試合に行きます。
序盤はマルチナがいきなりシュテフィのサーブをブレイクして2ゲームを連取します。
マルチナは1試合やって身体が温まってましたが、シュテフィはまだウォームアップ中って感じでしたね。
そう言えば、マルチナも第1試合の序盤はそんな感じでした。
最初は強く打つことがほとんど無かったし。
作戦的なことも有ったかもしれませんが、身体が温まってから本格的に動こうと思ってたんでしょうね。
この辺はやはり若い時と違うところかもしれない(笑)
序盤のシュテフィはミスがかなり多かったです。
でも、あまり気にしてないようでした。
スピンを掛けてコートに入れるとか、際どいところに打たないとかはあまりなく、強打を叩き込んでました。
エキジビということも有るし、打てる時に守りのショットを打つ必要は無いと思ったんでしょうね。
そんな感じで短いポイントが多かったですが、序盤の数ゲームで調整してきました。
すぐにブレイクバックしてタイに戻し、容赦の無いショットを打ち込み始めます。
シュテフィのフォアを間近で見たのはかなり久々ですが、あそこまでフラットな感じだったかな。
いや、フラットというか、あそこまでネットすれすれだったかな?ってことなんだけど。
バックハンドは元々ネットすれすれでしたが、フォアはもっと高い弾道のイメージだったんだけどね。
相手がスピンをあまり掛けずにネットダッシュするマルチナだったからだろうか。
今日はアリーナの3列目の間近から見ることが出来ました。
ここまで近くで彼女を見たのは、たぶん89年のフェデレーションカップ(現フェドカップ)以来ですね。
あの時は有明の1番コートでしたから。
当時ダントツ1位のシュテフィがあのコートで試合したってのも信じがたい話ですけどね(笑)
あとはテレビだったり、生で見てもアリーナ席じゃなかったりだったからなー。
あ、91年の東レが有ったか。
相手がガビーやアランチャだと、上から叩き込む場面が増えて、あそこまでネットスレスレのフォアではなくなるのかも。
アランチャとシュテフィの試合も面白かったなー。
92年と94年のともにUSオープンで、アランチャが徹底的に考えたであろうシュテフィ対策と展開力で勝利をもぎ取った試合は、面白くてホントに何回もビデオで見ましたよ。
またまた脱線してますね(笑)
シュテフィと言えばフォアの逆クロスというイメージですが、今日はクロスが有効でした。
アングル気味に凄いところに決まるフォアが結構有りました。
まー、強烈な逆クロスが有るからこそ、順クロスが活きてくるんでしょうけどね。
現役当時からですが、彼女がコート中央からバック側の位置にいる時に放たれるフォアはとにかく凄いです。
このテニスをするにはフットワークが重要になってくると思いますが、この点もほとんど現役時と遜色ない感じでしたね。
全体的な筋肉は若干落ちた感じはなくもないですが、よくシェイプされていて、この試合に本気に取り組んできたことがうかがえました。
シュテフィは現役当時、フォア側に走らされた時の返球が唯一の弱点と言われてました。
(後にはバックのスライスも槍玉に上がってましたが。)
弱点と言っても、他に比べればというレベルですけどね。
今日もこの場面でコントロールしきれずのミスは有りましたが、強烈なウィナーもそれ以上に有りました。
やはり彼女に気持ちよくフォアを打たせるのは危険ですね。
もうひとつの彼女の特長であるバックハンドスライスも好調でした。
さっきも書いたように、今日はアリーナ3列目での観戦でした。
コートと高低差がほとんどない場所から見ると、あのスライスの凄さがよく分かります。
ネットに吸い寄せられるような感じにネットすれすれに飛んでいき、バウンドしてからスーッと伸びていきます。
打点を遅くしてフォア寄りのグリップでえぐるように打ってるからあーなるんだと思いますが、これってかなりリスキーです。
テニスやってる方なら分かると思いますが、打点の幅がほとんどなくて、そこを逃したら簡単にネットやアウトすると思います。
フォアハンド同様、他に真似出来ない彼女独特のスタイルですね。
マルチナのスライスもかなりキレてましたが、スライスをストロークラリーでの攻撃として使ってるシュテフィとは意味合いが違うと思います。
マルチナの場合はそれ自体で攻撃するというよりも、ネットに繋げる、相手に攻撃させない、長短つけてアクセントをつける、と言ったコントロールショットでしょうね。
守備的ショットとして、攻撃された時に浮かずに返球するというのも大きいと思います。
当時と同様にバックハンドはスライス主体のシュテフィでしたが、チャンスの時やパスを打つ時はドライブ系を使ってました。
薄いグリップだから見栄えはそれほどよくありませんが(失礼!)、スピードが有るから、相手が一歩も動けないように一発で抜くには充分ですね。
ストロークラリーには向かないでしょうけど。
マルチナは容赦ないシュテフィのストロークにさらされてましたが、現役当時と同様に対シュテフィ用のプレイをしてました。
基本はバックハンドを集中攻撃してネットダッシュし、チャンス時やバック攻めの前段階としてフォア側へ配球。
文章にするとこんな感じでしょうか。
シュテフィとの対戦では、一発でウィナーを取られないために守りのストロークも重要になってきます。
他の選手も同じですが、これが出来ないと彼女には勝てないです。
(次世代のリンジーやセリーナなどとの対戦ではちょっと様相が異なってきますが。)
今日改めて思いましたが(というかレポート書いてて思ったのですが)、サウスポーのマルチナは他の選手に比べれば守りやすいんじゃないでしょうか。
まー、守りやすいと言っても、あくまで他の選手よりはちょっとは有利かな?ってぐらいですけどね。
シュテフィの最大の武器であるフォアの逆クロスに対して、同じくフォアハンドで距離の長いクロスに返球が出来ますからね。
(ここ数年のフェデラーvsナダルにちょっと通じるかも。逆の意味も有るけど。)
この時のマルチナは、少ないラケット操作で、それほど回転量が多くないボール(若干サイドスピン気味)を使ってます。
ネットやアウトせずに相手のバック側に返すことを第1目的とし、そして出来れば深く返球する。
そんな感じでしょうかね。
左右に散らす必要があまり無く(と言うよりもフォア側には打てない)、決まった場所へ返せばいいというのもミスが少なくなりそうです。
フォアのクロス(つまりマルチナのバック側)を打たれた時のほうが選択肢が多いでしょうね。
通常はスライスでダウンザラインへ(あくまでシュテフィのバック側へ返球)、アクセントとしてクロスに返球って感じでしょうか。
オプションとしてドロップショットという選択肢も有るとは思いますが、当時はショットが厳しくてとても出来なかったですね、これは。
甘ければ簡単に追いつかれて逆襲されますからね。
今日は序盤では何本か使ってポイント取ってましたね。
シュテフィのフットワークが良くなった中盤以降は使える展開では無かったけど。
マルチナとしては、とにかく簡単にポイントを与えることだけは避けたかったはずです。
マルチナのプレイについては、見る度に驚かされるというか、新たなに気が付くことが有りますね。
最後の公式戦の全米ミックスの時は、ローボレーのコントロールに驚嘆しました。
遠く(テレビカメラの位置)から見ても凄く感じたから、間近で見たらもっと凄いんだろうな。
WOWOWのインタビューで、手の感覚でボレーをする言ってたのを思い出します。
本の宣伝が目的だったでしょうけど、それ以外にも様々な話が聞けて、あのインタビューはファンとして嬉しかったです。
今日は、ちょっと押し込まれてるけど思いっきり守勢ではない時のボレーコントロールに目を見張りました。
ちょっと分かりにくい文章になってますね・・・。
チャンスボールではもちろんなく、やっと届いたというボールでもなく、少しだけ遠い場所に強打された時です。
ますます分からないか・・・(笑)
こういう時、厚く当ててボレーすると弾かれてアウトするんですよね。
素人考えかもしれないけど、プロの試合でも同じような場面は数多く見たことが有りますから。
(思いっきり遠い場合は、意図とは別にドロップになったりするけど・・・。)
たとえコート内にボレー出来ても、短くなって次で相手に決められるという展開になりがちだと思います。
この場面でマルチナは、薄めに当てて距離を出して深く配球してました。
これはテレビで見ても分からないし、会場で見ても遠くからだと分からないと思います。
これって凄いことですよ!
チャンスボールならともかく、攻撃されたボールを薄く当ててコーナーに打つって、相当タッチがよくないと出来ないはずです。
(ドロップでの返球はそれほど高難度ではないので別。)
過去に生観戦で驚いたボレーヤーはジジ(フェルナンデス)やリサ(レイモンド)などがいますが、やはりマルチナの技術も素晴らしいです。
試合はその後、サービスキープが続きますが、シュテフィが先にブレイクに成功して5−3とリード。
しかしマルチナもブレイクバックして、7オールからタイブレイクに突入します。
もうこの辺りではエキジビという雰囲気ではなかったですね。
ここまで来たら、当時を思い出してお互いに勝ちたかったのでは?
タイブレイクは途中まで拮抗しますが、中盤以降にポイント連取したシュテフィが10−5でGET。
久々の対戦で勝利をあげました。
久々にシュテフィを見て感じたことが有ります。
彼女はパワー系の選手のように思われがちですが、実はテクニック系の選手なのでは?
もちろん厳密に分けられるものではなく、どちらかと言えば、ということですけど。
彼女は打つコースや作戦的なことに関しては結構シンプルで、相手の流れの中でプレイすることも多いです。
(「相手の流れ」というのは対戦相手が色んなことをやってくると言う意味。)
これは自分から打っていく攻撃的ストローカーに共通する特徴です。
しかし、ショット単体を見た場合、強打してる割りにミスが少ないし、あのバックのスライスはテクニカル以外の何ものでもないと改めて感じました。
ミスが少ないというのは、調整能力が優れてるってことだと思うしね。
この辺は同じくパワー系と見られていたマルチナと似てますね。
彼女も調整能力が非常に優れたテクニカルプレイヤーだと思いますから。
今日は、シュテフィのフォアハンドやマルチナのボレー、そして特にスライスの打ち合いに観客がどよめいてました。
あのスライスラリーは鳥肌が立つほどでしたね。
8ゲームプロセットだったけど、タイブレイクまでもつれたし、この1試合だけで充分おつりが来る内容でした。
エキジビとは思えない攻防の連続で、非常に満足しました。
◇vol.3へ続きます。
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