AIG OPEN 2007
AIG Japan Open Tennis Championships
本戦6日目 2007/10/6(土) Vol.2  戻る トップへ


◇vol.1からの続きです。


◆5-Virginie RAZZANO (FRA) def. 1-Venus WILLIAMS (USA) 4-6 7-6(7) 6-4
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女子シングルスの決勝です。
そう言えば、今年は女子の試合をあまり見てないですね。
今年の女子シングルスは、早い時間にオーダーに組まれる事が多かったです。
去年までもそうだったったけ?
今年の平日観戦はナイトマッチ専門だったから、本戦初日の2試合ぐらいしかまもとに見てないなー。
あとはアザーコートの試合をところどころ見ただけだし。
予選も荏原SSCで大半の試合やってたしね。
というわけで久々の女子シングルスを全部見たかったですが、アザーコート巡りも同時進行でやってたので、ところどころしか見てません。

コイントスには、日本のジュニア選手の土居美咲ちゃんが登場しました。
彼女はウィンブルドン・ジュニアやUSオープン・ジュニアのダブルスで上位進出したり、上り調子ですよね。
好成績のご褒美でしょうか?
そのコイントスに、ヴァージニーはなかなか出てきませんでした。
ヴィーナスと美咲ちゃん、そして主審のリン・ウェルチさんは2〜3分ぐらい待ってたのでは?
ある意味試合前の心理作戦のひとつかもね。
コイントスの後、そのまま試合序盤の数ゲームを見ました。
ヴァージニーはゲームを取るのにかなり苦労してましたね。
彼女のサービスゲームは苦労してキープ。
ヴィーナスのサービスゲームは簡単にキープ。
そんな展開でした。
0−40というゲームも有ったはずです。
しかし、そこから何とかキープに成功。
後から考えると、この粘りが勝利に繋がったと言えるかもしれません。
粘りというよりも、運や巡りあわせと言ったほうが正確かも。
だって、あんなにピンチの連続だったのに、全て逃れたわけですからね。
ヴィーナスからしたらストレスが溜まる展開だったでしょう。
あと1本が取れずにキープされるわけですから。
そういう展開でオールキープの3−2か4−3辺りまで見ました。
ヴィーナスはどちらかというとバックハンドが強いイメージが有りますが、今日の彼女はフォアが好調でした。
好調なフォアで相手を振り回し、甘くなったボールを更に叩いてポイントしてましたね。
逆にバックハンドは、遠く低い打点で打たされたショットが多かったように思います。
その後はアザーコート巡りに出たわけですが、携帯のリアルスコアで見ると、試合を優勢に進めていたヴィーナスが6−4でセットを取ってました。
やはり、あの流れではそうなるなって感じですね。
しかし次にリアルスコアを見ると、ヴァージニーが5−2(5−1だったか?)でリードしてるじゃないですか。
ストレートで決着かと思ってたので、これにはびっくり。
その後はヴィーナスが追いつき、いつの間にか5オールになってました。
練習コートにカルロビッチ、フェレールが次々と登場してなかなか戻れませんでしたが、試合が終わっちゃうかもしれないと焦ってセンターコートに戻りました。
センターに戻ると、5オールからヴィーナスがブレイクに成功し、6−5でマッチゲームになってました。
このセットは、前半はヴァージニーが連取、後半はヴィーナスが連取という形ですね。
どういう経緯でそうなったのか、見たかったところです。
もう終わりかと思われた第12ゲームでしたが、ヴァージニーがブレイクに成功。
まさかのタイブレイクに入ります。
タイブレイクもヴィーナスが有利な展開でポイント取って6−3とリード。
3本のマッチポイントです。
さすがに終わりかと思いました。
しかし、これも逃れて6オールに。
最後は7オールから2ポイント取ったヴァージニーがまさかのセット奪取。
驚きましたよ、ほんとに。
ヴァージニーはバックのダウンザラインが素晴らしかったです。
ヴィーナスをバックサイドに寄せておいて、最後に渾身のダウンザラインを放ちます。
この時以外にも、ネットすれすれのショットがラインに沿って飛んでくのを何回も見ました。
ヴィーナスでも取れないんだから、あれは他の誰でも取れませんよ、きっと。
ヴァージニーは攻めが早いですね。
これはハードヒットするという意味では有りません。
同じところに何球も打つことなく、すぐコースを変えてました。
ヴィーナスに先手を取らせないようにしてたのかもしれませんね。
テニス中継の解説などを聞いてると、ヴィーナス攻略法としては、身体の中心を攻めろとよく言われます。
手足の長いヴィーナスを動かしてカウンターを食らうより、詰まらせて返球を甘くするということだと思います。
今日のヴァージニーは、このセオリーを無視してました。
ヴィーナスもそれに応戦したから、振り回しあいでしたよ。
この展開は、普通はヴィーナスのペースになって、ウィナー量産になりそうです。
しかし、前半は結構有ったヴィーナスが一発でエースやウィナーを取る場面は、後半に行けば行くほど見られませんでした。
そもそも、ヴィーナスがソウル(ティアW)とAIG(ティアV)に参戦するとは驚きでした。
ティアV以下に出たって、ランキング的にはそれほどメリット無いですから。
そんな中、わざわざアジアツアーに参戦してくれた彼女には感謝です。
ファイナルセットはどうだったか・・・。
セット序盤はまたしてもアザーコート巡りに出てたので分かりません。
戻ってくると、ヴァージニーが1ブレイクアップでリードしてました。
行き詰まるロングラリーが続きますが、そのままヴァージニーがリードを守って6−4で勝利。
初優勝を飾りました。

ヴァージニーの試合は今大会で2試合見ることが出来ました。
(他にシングルスを2試合見れた女子はいない。)
生観戦したのは、たぶん今回が初めてです。
彼女の試合でよく覚えてるのは、去年のUSオープンでヒンギスに勝った試合です。
もちろんテレビ観戦ですけどね。
あの時は、深く角度の有るショットで攻めまくってたように思います。
マルティナは強打をいなしながら自分の展開にしていくのが上手いです。
その彼女に自分のテニスをさせてませんでした。
あの時の内容は素晴らしかった。
今日は、その時ほど自分の展開が出来たわけではありません。
しかしヴィーナスの強打を何とか拾いまくりながらラリーをニュートラルに戻し、チャンスを見つけて逆襲に転じる。
これが上手くハマリ、接戦を制したのだと思います。
つまり、攻撃と守備が上手く噛み合ったということでしょうね。
コイントスを見ても分かるように、時間の使い方など心理面も考えてるようです。
(あくまで推測ですが。)
正直言うと、彼女がここまでやるとは思ってませんでした。
今回の勝利、特にヴィーナスに勝っての優勝は、もしかしたら彼女のターニングポイントになるかもしれませんね。
ヴィーナスについてですが、彼女はその日の体調で大きく結果が変わりますよね。
今日は可能な限り頑張ったと思います。
彼女は攻撃的なショットを打つ選手なので、ミスはつきものです。
その割りには、今日はそれほど早いタイミングでのミスショットは少なかったと思います。
ロングラリーの末にミスとかは有りましたが。
しかし、ロングラリーになってしまうこと自体、彼女の本来のテニスではないでしょうね。
これは特に2NDセット以降に感じました。
1STセットは、それほど長いラリーはなかったと思うので。
試合後の修造君の話によると、ヴィーナスは途中で(2NDセットの第1ゲームと言ってたような?)メディカルタイムアウトを取ったようです。
その時のドクターとの話では、途中でやめるかもしれないと言ってたとのこと。
試合が拮抗してしまったのは、やはり不調によるところが大きかったんでしょうね。
言われてみれば、走る時に痛そうにしてた時が有りました。
決勝戦が棄権で終わるのと最後までやるのとでは、観客が受ける印象が全く違います。
棄権で終わった場合、シラーっとした雰囲気になってしまうでしょうね。
そういう意味では、最後までやってくれたヴィーナスに大会側は感謝ですね。
ネームバリュー的には一方的になるかと思われた決勝でしたが、様々な要素によってクロスゲームになり、最後はまさかの結果でした。
ヴァージニーには忘れられない大会になるでしょう。
3時間を越える熱戦を第5シードのヴァージニーが制し、広州ティアVに続いて2週連続優勝に輝きました。
(あまりに長くなってしまったので、3つに分けて改行入れました・・・。)


◆1-David FERRER (ESP) def. 7-Ivo KARLOVIC (CRO) 7-6(3) 6-3
14
これは楽しみな対戦でした。
カルロビッチはQFで、アガシの次の世代のトップリターナーと言われたヒューイットを破りました。
しかもタイブレイク2つで勝利と、ビッグサーバーに相応しい勝ち方で。
男子はそれほど詳しくないですが、ヒューイットがトップ時より調子を落としてる今、フェレールはその次の世代のトップリターナーですよね?
(ヒューイットも一時期に比べるとかなり復調してきますが。)
そういえば、同じくリターン巧者と言われたコリアはどうしたんだろうか?
あのフレンチ決勝の痙攣からの大逆転劇はかなり痛々しかったですが・・・。
彼にも戻ってきてもらいたいです。
俺がテニス見始めたころは、その当時、最高のリターンと言われたジミー・コナーズがまだ現役でした。
あのスライス気味のフラットリターンは懐かしいなー。
後にも先にも、あーいうプレイスタイルのトップ選手は見ませんね。
ちなみに、テニス見始めたのは88年から89年ごろです。
当時のトップはレンドルで、コナーズ、マッケンローはまだまだ現役、エドバーグ、ベッカーは上り調子。
アメリカの次世代はチャン、アガシが出始め、クーリエ、サンプラスはまだまだって感じだったかな?
その前のボルグの時代はリアルタイムでは知りません。
長髪でデニムパンツのアガシが懐かしい(笑)
コナーズの場合はスピードで勝負だったのかな。
ライジング+フラット(若干スライス気味)でネットすれすれで伸びてくる。
そんな感じ?
当時は自分でテニスやってないから、テレビで試合見てても、いかに凄いことをやってるかというのが実感としては無かったですね。
単に、あー凄いなーって感じでね。
生でコナーズの試合を見たことも無いし。
あ、かなり脱線してますね(笑)
序盤のフェレールは、カルロビッチの1STサーブをほとんどリターン出来なかったと思います。
慣れないうちにいきなり攻略するのは、リターン巧者のフェレールでも難しいってことでしょうね。
まー、慣れたからってあのサーブをリターン出来るとは限りませんが・・・(笑)
しかし、自分のサービスゲームはしっかりキープしていきます。
この流れでキープ合戦になります。
カルロビッチはバックのスライスをかなり使いますね。
時々スピンも打ちますが、どちらかというとネットアプローチに繋げたいようでした。
ミスを減らすという意味も有ったのかな。
でも、自分のサーブ以外でネットに出られるチャンスは、それほど多くはなかったです。
ネットに出ても、フェレールの気合のこもったストロークに弾かれる場面が多かったし。
しかし、1STセットのカルロビッチに全くチャンスが無かったわけではありません。
ブレイクポイントが何本か有ったと思うし。
しかし、そういう場面でのフェレールは、危なげなくポイントを取ってました。
15−40とかも有ったはずなんだけどなー。
フェレールのプレイの印象ですが、何て言ったらいいんだろう?
ショット自体はもちろんスピード有るんだけどね。
重さや威力も有りそうだし。
でも何となく表現が違うな。
ショットの勢い、スピード、威力、どれも優れていることは間違いないです。
でも、そういうショット単体よりも、いつでもどこからでもそれを打てる、というのが相手からは脅威なのかもしれません。
彼を不安定な体勢で打たせるのは、非常に難しいと思いました。
彼はフォアもバックも、身体に近い位置で打ってるように見えます。
特にバックハンドは、ほとんどラケットが左腕か顔の間近で打ってるように見える時さえ有ります。
ここまで引き付けるのは、他の選手にはあまり見られないように思いました。
引き付けるという表現も何か違うような気がしますが・・・。
日本語は難しい・・・。
つまりは足が速い、フットワークが良いということになるのですが、
それだけではなく、自分が一番チカラが入る打点、つまりボールと身体の位置を合わせるのが上手いということかもしれません。
これでは相手は攻め手が無くなってしまいます。
どこに打っても万全の体勢で打たれてしまいますから。
カルロビッチはストロークラリーからはあまりポイントを取れませんでしたが、ビッグサーブでキープを続けました。
そして1STセットはタイブレイクに入ります。
タイブレイクは序盤からフェレールがブレイクに成功して、3−1、4−1、5−2、6−3とリード。
(スコアボードの写真見たらそうなってた。)
もうこの辺りから、2NDセットを予感させる流れだったような気がします。
詳しいポイント展開は覚えてませんが、意外なほどあっさりフェレールが取ったような?
2NDセットに入ると、カルロビッチの1STサーブの確率が悪くなってきます。
(だったはず。)
そして第2ゲームのカルロビッチのサーブがブレイクゲームとなり、フェレールが3−0とリード。
カルロビッチは一気に敗色濃厚に。
スライスで粘ったりネットダッシュ以外、これと言って強烈なリターンやストロークがあまり無い彼が、今日のフェレールのサーブをブレイク出来るとは思えなかったし。
これは日頃、世界のテニスをチェックしてる人なら誰でもそう思ったはず。
自分のサービスゲームでは武器のサーブを活かして先行できました。
しかし、リターンゲームはほとんどのゲームでフェレールに先行されてたと思います。
その後はお互いにキープを重ね、フェレールが6−3でセットを取って勝利しました。
1STセットでは危ない場面が多少有りましたが、全体的に見ると危なげない勝利でしたね。
今日のカルロビッチは1STサーブの確率が全てだったと思います。
確率が悪くなった2NDセットは、2NDサーブを叩かれて失点するケースが多かったです。
フェレールから見ると、カルロビッチの1STサーブを攻略出来たとは言えないと思います。
(これはほとんど誰でも無理。)
しかし、それ以外の部分で差を見せつけて勝利に繋げました。
カルロビッチはサーブONLYの選手のように思われがちですが、それだけでこの位置まで来れるとは思えません。
彼のシングルスを見るのは今大会が初めてですが、ストロークに関しては攻撃力こそ他のトップに劣るものの、深く配球しよういう意図が感じられました。
バックのスライスを多用するのも、相手の攻撃をかわす、攻撃させない、返球を甘くさせるなど、次の攻撃に繋がるようにということだと思います。
まー、超攻撃的なサーブに比べれば、どちらかといえば守備的とも言えそうですけど。
ネットプレイは上手いですよね。
コンパクトで丁寧なスウィングでボールの方向を変え、オープンコートに沈めてました。
これ以上ランクを上げるには、リターンの確実性やストロークのバリエーションを増やすとか、そういう方向ですかね。
ストロークの攻撃力を上げようとしてそっちに気を取られると、対戦相手が最も恐れる得意のサーブが死んでしまうような気もするし。
どういう方向に彼が進むのか、最近ではあまり例がないタイプの選手なだけに楽しみです。
フェレールがトップシードの強さを見せ付け、ストレートで決勝に進出した試合でした。


◇vol.3へ続きます。


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