東レ パン・パシフィック・オープン
Toray Pan Pacific Open Tennis

本戦4日目 1992/1/31(金) vol.2  戻る トップへ


◇vol.1からの続きです。


◆Gabriela Sabatini (ARG) [1] def. Pam Shriver (USA) 6-2 6-7(4) 6-4

これは興味深い対戦ですね。
少し時代がずれてる感じなので、対戦成績がどうなってるのか調べてみました。
85年から92年まで7年間で、7勝5敗でガビーが勝ち越してました。
85年というと、パムは第一線で活躍するバリバリのトップ選手、ガビーはトップに駆け上がる段階でしょうか。
意外な事に最初の2つはガビーが接戦で勝ってます。
その後は4つ続けてパムが勝ってますが、比較的簡単なスコアで勝ってますね。
早いコートが多いってことも有りますが、トップ選手の貫禄を見せた感じでしょうか。
そしてガビー、パムとそれぞれが勝った後は、ガビーが4連勝となって対戦が終わってます。
この東レの時は、最後から2番目の対戦です。
それにしてもスコアがかなり競ってますね。
パムのネットプレイが独特ってことも有るのでしょうか。
彼女みたいな感じの選手は、男女共にちょっと思い出せませんね。
他のネットプレイヤーはアプローチが強烈だったり、サーブが強烈だったりってイメージです。
しかし、彼女はあまりそういう印象は無いですね。
フォアハンドはコナーズっぽかったですけど。
彼女はスライス気味のフォアが持ち味でした。
これで深いショットを打ってアプローチをして、最後は長いリーチを活かしてネットで仕留める感じですね。
でも、あまり回転を掛けてる印象は無かったです。
これはバックハンドもでしたけど。
どちらかというと、大きなスウィングで深く打つイメージでしょうかね。
これは彼女がデカラケだったというのと関係有るのでしょうか。
あまり考えたことなかったけど、有りそうな気がしてきた(笑)
ネットプレイヤー自体が少ない現在ですが、特に彼女のようなスタイルは今後は出てこないんだろうなー。
ガビーは今で言うと、印象的にはアメリーですかね。
元々はトップスピンが持ち味のストローカーでシングルバックハンド。
そして、ネットプレイを覚えてから強くなり、トップ選手に成長したところなど、そっくりです。
エキゾチック(?)なルックスで女性ファンが多いところも似てる。
いや、ガビーは男性ファンが多かったかな?
アメリーは数週間1位になりましたが、ガビーも1位になってもおかしくなかったんですけどね。
シュテフィ、モニカという強敵と同じ時代になってしまったことが原因でしょう。
まー、こればっかりは仕方有りませんけど。
それに今みたく、年ごとに活躍する選手が違ったりする時代では無かったし。
ヤナやコンチータなんかも上位選手の隙を突いて(?)1位のチャンスが有ったかもしれないしね。
確か、二人とも最高位は2位だったと思います。
ガビーは3位だったかな。
またまた試合と関係ない話になってます(笑)
試合のほうは、接戦ながら第一シードの貫禄を見せたガビーがフルセットでパムを振り切ったようです。


◆伊達公子 (JPN) def. Arantxa Sanchez-Vicario (ESP) [3] 6-3 6-4

WTAのHPで対戦成績を見てみました。
この試合が二人の最初の対戦ですね。
全体としてはアランチャの8勝2敗です。
初対戦のこの試合と最後の試合だけ伊達ックが勝ってます。
あ、この試合のレポートから2005年に書いてます。
これより前の3試合は2004年にとりあえず書いといたものです。
なので、文章のトーンが若干違ってるかもしれません。
まー、その辺はあまり気にしてないのですが。
初対戦で伊達ックが勝ってからの8試合はアランチャが連勝してました。
スコアを見ると、普通のスコアが有りません。
ここで普通と言ってるのは、この試合のように6−3、6−4みたいなスコアの試合です。
そうではなくて、アランチャの圧勝(6−1、6−2とか)か、辛勝(6−3、2−6、8−6とか)ばっかりです。
やっぱり伊達ックの試合のスコアだなーって感じですね。
彼女の調子によって試合が全く変わるような感じが有りました。
これは彼女が当時としては珍しいライジングボールを打つスタイルだったからでしょうかね。
モニカもライジングでしたけど、彼女は強打が持ち味だった為か好不調の波は少なかったです。
というか、全盛期の彼女の不調の時って見たこと無い気がしますね。
スコアをリードされたり最終的に負けたりしても、相手が良かったからで、モニカの不調っていうのは記憶に有りません。
(忘れてるだけ?)
伊達ックは相手のボールの勢いも利用するスタイルだったからかも。
1STセットを簡単に落してから、大逆転で勝つのが多かったのも彼女の特徴でした。
スロースターターと言われてましたしね。
乗ってくると手が付けられないという印象も有りました。
彼女がこういう状態の時は、勝敗に関わらず相手はとても苦労してましたから。
前にも書いた気がしますが、シュテフィとの初対戦のリプトン、96年(?)の日没サスペンディットのWB、フェドでの初勝利!
伊達ックの躍進のきっかけとなった、ガビーとのLAでの対戦。
そして、コンチータとの全豪の試合、などなど。
ヤナ、メアリージョーなどにも勝ってたと思います。
まー、彼女の場合は完全にトップ10に定着した選手って感じだったので、他のトップどころに勝っててもおかしくないですけど。
でも、他の日本人もですが、アマンダには分が悪い印象が有りました。
彼女との対戦を調べると、2勝1敗でアマンダでした。
1993 Nichirei     A. COETZER 6-3 6-2
1994 French Open  A. COETZER 6-2 6-1
1996 Nichirei     K. DATE 6-3 6-0
勝敗だけだとそうでもないですね。
たぶん、最初の2つの対戦の完敗だった印象が強かったからでしょう。
沢松さんや遠藤さんなどの他の日本人選手が繰り返し完敗してたってのも有りそう。
伊達ックの引退試合は96年のチャンピオンシップスです。
この試合の初戦でモニカに初勝利しました。
モニカの途中棄権だったので試合に勝ったわけじゃないですが、記録としては勝利です。
これで同時代のNo.1の全員に勝ったことになりました。
ちなみにマルチナとの対戦は有りませんでした。
これもどういう試合になるか楽しみだったんですけどね。
モニカとの試合はテレビ中継されました。
確か、NHKのBSだったかな?
モニカがサーブを打つのにとても苦労してた印象が有ります。
本調子ではないことは途中から明らかでしたから。
彼女とはその前のニチレイでも対戦していて、モニカが6−4、1−6、7−6(6)の凄い試合で勝ってますね。
伊達ックとしては、出来ればこの時に勝っておきたかったことでしょう。
チャンピオンシップスでは、その後のQFで昇り調子のヒンギスに1−6、2−6で完敗してキャリアを終えました。
この試合もテレビで見ましたが、彼女の良いところが全く出てない感じでしたね。
モニカに初勝利した気が抜けたのかな。
彼女としては、最後の試合をモニカとの対戦って考えてたのかも。
それが思わぬ勝ち方で勝ってしまって、試合に入っていけない感じだったのかもしれませんね。
アランチャのほうは、シングルス、ダブルスともにN0.1になった数少ない選手です。
彼女のことは、GS初勝利した89年のフレンチで初めて知りました。
この時はNo.1のシュテフィが物凄く強い時だったので、凄く新鮮でした。
この試合が無ければ、自分がここまでテニスにのめり込んだか分からないってくらいでしたから。
その後は、しばらくは常に3番手くらいでしたが、92年、93年辺りから本気でトップを狙ってきました。
この頃の彼女は身体を大きくしてさらに耐久力を付けて、フットワークも磨きがかかってました。
それだけではなく、かなり強打もするようになってました。
常に打つわけじゃないですけどね。
シュテフィに勝った、92年のUSオープンのQF、同じく94年の決勝は今でも時々見るほどスリリングな試合でした。
どちらの試合も、全体としてはシュテフィ有利な感じなんですよね。
このポイントを取られてたら勝ちは無かったってポイントが結構有りましたからね。
そこを気迫溢れるプレイで乗り切り、最終的には勝利に繋げました。
よく、ターニングポイントは1ポイントだけど、それがどこかは試合が終わってからしか分からないから、常に全力を尽くす必要が有るって言われますが、この試合ほどそれが明確に分かる試合は他には有りません。
95年のWBもチャンスが有ったんですけどね。
この時の決勝の相手はシュテフィでした。
1STセットのアランチャは完璧な出来でした。
サーブ&ボレーが決まりまくってシュテフィを圧倒して、6−4で先取します。
2NDセットは1−6で落しますが、ファイナルセットは一進一退の末、5−7で落して準優勝でした。
彼女のGS優勝は全部で14回です。
シングルス4回、ダブルス6回、ミックス4回というバランスが取れた成績ですね。
シングルス引退後の2004でも、後輩のメディナ・ガリゲスと組んでパレルモで優勝。
まだまだやる気は衰えてないようです。
彼女やマルチナの全盛期を知らない人は目をひそめる向きも有るようですが、そういう人はスポーツが若者だけのものと勘違いしてる人でしょう。
30代になるとすぐに引退を持ち出したり、俺からすればちょっとなーって感じですね。
大会側がWCを与えるってことは集客力が有るってことだし。
まー、人それぞれだから誰が何を言っても別に良いけど(笑)
これって何回に分けて書いてます。
例によって凄く長くなってしまいました。
まだまだ書きたいことは有りますが、とりあえずこの辺にしときます。

◇そして試合終了です。


◇会場に置いてあるランキングボードです。
 左がチャンピオンシップスポイント、右が通常のランキングです。
 この時は全豪直後です。
 なので、モニカが優勝、メアリージョーが準優勝だったんでしょう。
 右を見ると、今でも現役の選手が結構いますね。
 モニカ、マルチナ、アランチャ、ジェニファー、コンチータです。
 モニカは怪我で長期離脱、アランチャは時々の参戦、ジェニファーは怪我でこちらも長期離脱中ですが。
 まだまだ、頑張ってもらいたい面子です!


翌日の準決勝、最終日の決勝も観にいったと思います。
でも、探してもないので写真は撮ってないようです。

◆SF
Gabriela Sabatini (ARG) [1] def. 伊達公子 (JPN) 6-3 6-0
Martina Navratilova (USA) [2] def. Magdalena Maleeva (BUL) 6-2 6-2

◆Final
Gabriela Sabatini (ARG) [1] def. Martina Navratilova (USA) [2] 6-2 4-6 6-2

SFはガビーとマルチナが、それぞれ伊達ック、マギーに完勝(スコア上は)して決勝に進みました。
前年と同一カードの決勝は凄い試合で面白かったですね。
覚えてる内容は、たぶん前年と混じってるのでそちらを見てください(笑)
書き始めてから1年ぐらい経ってますが、ようやく92年の東レを書き終えました。
いつもの通り、思い出話がメインですけどね。
というわけで、今でも結構印象深い92年の東レのレポートを終わります。


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